ホンダの元祖ミニバン「オデッセイ」が2021年末(12月24日)をもって生産終了となった。1994年の初代モデル登場以来、ホンダらしさ満載のミニバンとして人気を博してきたオデッセイがなぜこのタイミングに生産終了となったのか? オデッセイを取り巻く日本と世界の環境の変化にも触れつつその謎に迫ってみる。
文/渡辺陽一郎、写真/ホンダ、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】元祖クリエイティブムーバー、「オデッセイ」日本販売終了。その役割はステップワゴンに継承⁉(23枚)画像ギャラリー■狭山工場閉鎖とともに生産終了したオデッセイだったが……
今年に入り、ヴォクシー&ノアが新型にフルモデルチェンジした。今のトヨタは全店で全車を販売するので、基本的には姉妹車を廃止する方針だが、ヴォクシー&ノアでは存続している(エスクァイアのみ廃止)。
この背景には、ヴォクシー&ノアを含めて、ミニバンの好調な売れゆきがある。少子高齢化と言われながら、今でも新車として売られる小型/普通乗用車の約25%は、ミニバンが占めている。
販売店からは「子育てを終えても、車内の広さや開放感、優れた積載性に魅力を感じてミニバンを乗り続けるお客様が多い」という話が聞かれる。ミニバンの需要は依然として根強い。
ところが、ミニバンの主力車種とされるオデッセイは2021年12月に生産を終えた。理由はホンダの狭山工場が実質的に閉鎖されたからだ。ステップワゴンは寄居の完成車工場で生産を続けるのに、オデッセイは廃止されてしまった。車両の生産終了に伴って、工場を閉鎖するなら理解できるが、オデッセイは逆だ。狭山工場を閉鎖することで、商品の生産を終えた。
オデッセイの初代モデルは、1994年に発売されて人気車になり、今に繋がるミニバン需要を盛り上げる役割を果たした。そのために車名の認知度は高い。
2021年のオデッセイの登録台数は、1カ月平均で1762台であった。ライバル車となるアルファードの7921台に比べると少ないが、ホンダの小型/普通車では、フリード、フィット、ヴェゼル、ステップワゴンの次に多く売られていた。
ちなみに2021年のホンダの国内販売状況を見ると、軽自動車が50%以上を占めており、コンパクトなフリード、フィット、ヴェゼルも加えると80%を超えてしまう。
このようにコンパクトな車種ばかり売られている状況で、売れ筋価格帯が350万~450万円のオデッセイが1カ月平均で1762台登録されるなら、販売店にとって大切な収益源になる。そのようなオデッセイを工場の閉鎖に伴って廃止する判断に、ホンダの国内市場に対する理解の浅さが露呈している。
しかもオデッセイは、2020年11月にマイナーチェンジを実施して、内外装を大幅に刷新した。安全&快適装備も充実させている。その後、約1年で生産を終えたら効率も悪いだろう。
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