クルマを利用するにあたっては、自身で購入する以外にも、レンタカーやカーシェア、サブスクリプションなど、さまざまな選択肢が増えてきています。
なかでも、「普段はクルマを利用しない」という方にとっては、レンタカーやカーシェアは便利なサービス。ただもちろん、どちらのサービスにも一長一短があり、自分の使い方にはどちらがより合っているのかわからない、というケースもあるようです。レンタカーとカーシェアの長所とともに、注意すべき点についても、ご紹介します。
文/吉川賢一、写真/NISSAN、Adobe Stock
【画像ギャラリー】日産の先進技術を気軽に体感できる「NISSAN e-シェアモビ」のカーラインナップ(9枚)画像ギャラリー安心感と乗り捨て利用がメリット。反面、車種やグレード指定は高額に
主要な空港や駅周辺に必ずあるレンタカー店。旅先で利用したり、引っ越しなどで大きなクルマが必要なときに借りる、というケースもあるかと思います。借りる時間も6時間、12時間、それ以上と、長く借りるプランもあり、事前に予約しておけば、簡単な説明と料金の支払いをして、すぐに借りることができます。
★メリット
トヨタレンタカー、ニッポンレンタカー、日産レンタカー、オリックスレンタカーなど、大手レンタカー会社が運営しているところであれば、事前の掃除やクルマの基本的なメンテナンスのほか、万が一のトラブルの際なども安心です。システムや管理体制もしっかりとしているので、気になる点があればすぐに対応してもらえます。オプションで、スタッドレスタイヤやチャイルドシートなどを追加することも可能で、事前に料金が示されているので安心。愛煙家の方には、喫煙車を選ぶことができることもメリットでしょう。
また、借りた店舗以外に返却が出来る「乗り捨てサービス」はレンタカーの大きなメリット。旅行で移動した先で返却できるので、利用したことがある方も多いでしょう。引っ越しなどでも、役立つかもしれません。また、食事やお土産など、近隣施設と提携した割引サービスが用意されていることもあり、やはり旅先での利用では、レンタカーのメリットが際立ちます。
★デメリット
多くの車種があり、新型車もそろえられている大手レンタカー会社であっても、プランによっては細かなグレードの指定ができない場合が多いため、満足いくクルマを借りることができるかはわからない、というのがレンタカーのデメリット。
また、大手では6時間未満の利用プランがほぼありません。小規模のレンタカー会社であれば、10分100円といった激安価格で借りられるところもありますが、車種が少なく、また利用料も若干割高になります。
また、レンタカーではガソリン満タン返しが必須。たとえ10km程度の使用でも、ガソリンスタンドで燃料補給した領収書をスタッフへ見せる必要があるなど、面倒に感じる点があることも事実です。
高額車でも割安で借りられるのがメリット、クルマの状態はどれも違う
カーシェアリングには、ENEOSカーシェアやタイムズカーシェア、カレコなどのレンタカー型カーシェアと、Anyca(エニカ)やGO2GO、dカーシェアなどの個人間カーシェアの2つのタイプがあります。
★メリット
レンタカー型カーシェアリングは、決まった駐車場に止めてあるクルマを、会員登録をしたメンバーで共有し、利用したい時間に予約を入れて利用するサービスのこと。最初のメンバー登録さえしておけば、スマホやPCから予約をし、利用することができます。短時間から借りることができるので費用も抑えられ、また、借りる当日も、専用のICカードやスマホでアンロックができるので、対面での手続きが不要なところも便利です。
また、レンタカーのようにガソリン満タン返しは必要なく、給油すれば割引サービスなどを付与され「給油に対する対価」を得られるのも魅力。会員登録さえしておけば、全国どこでも利用することができるので、出張が多い人などでは移動先の足として非常に便利です。
個人間カーシェアリングの場合、借りられる車種、台数が多いことが最大の魅力。例えばAnycaでは、750車種以上、9000台以上のクルマが登録されています。個人間カーシェアは、貸し出す「オーナー」と、借りる「ドライバー」が、運営団体が用意する専用アプリを介して相手を探します。システムを介して支払いが行われ、金額に関しても、システム側で決めたシェア金額の上限があるので、借りたあとで法外な価格を吹っ掛けられることもありません。
また、高価な上級車を比較的安く借りられるのも魅力。例えば、ラージミニバンのトヨタ アルファードを、神奈川県横浜市内で、朝8時から翌朝8時まで借りる場合、トヨタレンタカーだと2万5300円(W3クラス、一般価格、車種指定価格1100円込)かかりますが、カーシェアリングAnycaの場合だと1万1000円(8000円+カーシェアプロテクト3000円)程で借し出しているケースがあり、これがコンパクトカーのノートになると、日産レンタカーでは8470円(車種指定)ですが、Anycaだと7000円(4000円+カーシェアプロテクト3000円)と差が詰まります。
サイトの写真を見ながら借りるクルマを選ぶことができるので、試しに乗ってみたい、購入する前にじっくりと乗ってみたいという場合や、ポルシェやGT-Rのような、所有するのは勇気がいるクルマが借りられるのは、とても大きなメリットでしょう。また、S13シルビア(1990年製造)やR34型スカイラインGT-R(1998年製造)など、昔から乗ってみたかった憧れのクルマに乗ってみたい、といった方には、非常に良いサービスです。
★デメリット
レンタカー型カーシェアリングの場合、台数が限られていることから、希望するステーションに空いているクルマがない、ということも考えられます。レンタカー型カーシェアリングは事前予約が必要なため、「借りに行ったけどクルマがなかった」ということはないですが、予定が分かった時点で予約をしてもすでに空きがなく、クルマを利用することができない、というケースは考えられます。
ステーションにもよりますが、車種が豊富にそろえられているわけではありませんし、また、基本的には運営会社がクルマのメンテナンスしてくれますが、クルマがいつもきれいな状態とは限らず、昨今のご時勢を考えると、気を付けなければならない点がいくつかあるのも事実です。
またレンタカーと違い、カーシェアリングは「借りた場所に返却する」ことが大原則ですので、乗り捨て利用はできず、長時間の利用の場合はレンタカーよりも高額になるケースもあります。また、すべて禁煙車のため、愛煙家の方には向かないかもしれません。
個人間カーシェアリングの場合、他人が所有しているクルマを借りるため、汚れや使い方、返却時のマナーなど、レンタカーよりも、クルマの扱いには気を付ける必要があります。またメールのやり取り程度の面識ですので、貸し手との信頼関係を損ねるようなことを行うと、その後のトラブルに繋がってしまう可能性もあるため、返却時間に間に合いそうにないことが分かった場合や、クルマに傷をつけてしまった、ジュースをこぼして車内を汚してしまった、などの場合には、オーナーに必ず連絡を取ったうえで、借り手は誠実な態度で対応する必要があります。
また、クルマの清掃度合いはオーナーさん次第ですので、写真では分からない臭いや異音、内装のくたびれ感などは、見てみないと分からない、といったことになります。事前にレビューや直近のシェアの状況を調べ、分からなければ事前に聞いておく必要があります。
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