2020年5月からスタートした、トヨタ販売店での全車種併売。チャネル名は残っているものの実質的な系列統合ともいえる改革が起こってから、丸2年が経過した。
ユーザーには混乱を与えたが、購入できる車種が増えたことは、利点にもなっただろう。対して販売店にとって、この改革はどのように働いたのであろうか。変革後の販売店を取材して見えてきた事実から、併売化による長所と短所を考えていく。
文:佐々木亘/写真:トヨタ
【画像ギャラリー】トヨタ販売店統一の影響を受けたクルマを画像でチェック(28枚)画像ギャラリー■競争激化?いや、得意車種が明確になっただけだ
多くの販社が喜んだのは、ビジネスカーを全車種売れるようになったことだろう。中でも、ダイナ・ハイエース(バン)・プロボックスを、まとめて法人向けに提案できるようになったことは、革命だと営業マンは語る。
これまでこの3車種を同時に販売できたのは、トヨペットチャネルだけだった(ダイナはトヨエース名での販売)。そのため、ビジネスカー部門での法人営業に関してはトヨペット店が頭一つ抜けていた。しかし、併売化により他チャネルも攻勢に出ることが可能となる。
また乗用車でも、クラウン・アルファードといった法人役員に人気のあるクルマを、ビジネスカーとセットで提案できるようになっている。そのため、これまではトヨタ店とトヨペット店が得意としてきた法人営業の舞台へ、カローラ店・ネッツ店も大きく入り込むことができるようになった。
しかしながら、カローラ店・ネッツ店に関しては、まだビジネスカーと法人向け乗用車のセット販売には慣れない部分も多い。乗用車の個人需要が頭打ちとなっている今、法人へ販路を広げ、販売台数を確保する戦略が必要とされている。
他方で、乗用車に関しては、全車種取り扱いになったことで、販売店の提案幅は広がり、既存のユーザーからのウケはいい。とはいえ、車種ごとの得意不得意はチャネルごとに激しさを増す。
併売開始後に登場したハリアー(トヨペット店専売)、ヤリスクロス(ヤリスはネッツ店専売)、ランドクルーザー(トヨタ店専売)、カローラクロス(カローラ店専売)、ノア・ヴォクシー(カローラ店・ネッツ店専売)は、全チャネルで相当の販売台数を記録しているが、中でも元専売店の勢いは強い。
販売店同士の競争は激化しているものの、結果としては元専売チャネルが優勢になっているようだ。併売・統合と言われているが、それぞれの得意分野が、より明確化されただけとも言えるだろう。
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