発売後10年以上の2大ご長寿コンパクト! 日産マーチは生産終了……三菱 ミラージュはまだまだ元気!!

発売後10年以上の2大ご長寿コンパクト! 日産マーチは生産終了……三菱 ミラージュはまだまだ元気!!

 激戦のコンパクトカークラスで各メーカーがしのぎを削っているが、長い間モデルチェンジを行っていない車種が2つある。それが2010年にデビューした4代目日産 マーチと2012年デビューのコンパクトカーとして初代となる三菱 ミラージュだ。

 この2大ご長寿コンパクトはなぜこれほど長く生産され、そして今後どうなるのかを渡辺陽一郎氏に解説してもらった。

文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部、NISSAN、MITSUBISHI

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■日本で人気なのはやはり「小さいクルマ」

日本におけるコンパクトカーの代表車種といえる日産 マーチ。同社のサニーよりもコンパクトな車種として1982年に登場した(写真は現行型)
日本におけるコンパクトカーの代表車種といえる日産 マーチ。同社のサニーよりもコンパクトな車種として1982年に登場した(写真は現行型)

 クルマには複数のカテゴリーがあり、最も販売比率が高いのは軽自動車だ。2022年1~7月の国内販売台数に占める軽自動車比率は約38%であった。これに次ぐのがコンパクトカーで約25%になる。つまり軽自動車とコンパクトカーを合計すると、国内市場全体の60%を上まわる。

 今はコンパクトなSUVまで含めて3ナンバー車が増えたが、ハッチバックスタイルのコンパクトカーは、依然として5ナンバー車が主力だ。国内で多く売られている乗用車は、軽自動車を含めて、今でも運転しやすいサイズが中心になる。

 コンパクトカーの代表車種に日産マーチがある。初代マーチはサニーよりもコンパクトで求めやすい車種として1982年に発売された。

 1992年に登場した2代目マーチは、ウインドーの面積が広く、視界が抜群に良い。少なくとも日本の歴代小型車では、車庫入れが最も容易だ。今でも2代目マーチ以上の車種は登場していない。しかも外観は、水平基調と丸さを組み合わせて見栄えも良く、実用性とデザイン性を高次元で両立させた。

 そのために2代目マーチはヒットした。発売の翌年に当たる1993年から、背の高いキューブが登場する直前の1997年まで、5年間にわたり1か月平均の登録台数は1万台から1万2000台に達する。

 今のノート(ノートオーラを含む)を超える売れ行きだ。当時、ライバル車になるトヨタ スターレットの開発者が「マーチにはどうしても勝てない……」と悔しそうに呟いたのを思い出す。

 2002年に発売された3代目マーチも、2代目の路線を踏襲して内装の質をさらに高めた。プラットフォームも刷新され、2002年の1か月平均登録台数は1万1600台、2003年も約1万台であった。

 3代目までのマーチは順調だったが、2010年に登場した4代目の現行型で状況が一変した。内外装の質が下がり、例えば荷室を拡大すると、前側に倒した後席と荷室床面の間に大きな隙間が生じた。操舵感も曖昧で乗り心地には粗さが伴う。

 この影響で販売は低迷した。発売の翌年となる2011年は東日本大震災が発生したから除くとして、2012年の1か月平均登録台数は約3300台だ。2代目と3代目が発売直後に1万台に達したのに比べると、売れ行きは3分の1に留まる。

 その後も設定を続けたが、新型コロナウイルス問題が顕在化する前の2019年の時点で、1か月平均登録台数は約800台だ。時間の経過に伴って大幅に落ち込んだ。

次ページは : ■質感の低下とコンパクトカーの増加で低迷の一途へ

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