2022年7月に発表された16代目トヨタ クラウンは、代数を徳川幕府になぞらえ「維新のクラウン」と呼ばれたりもしている。
その新型クラウン、維新の名に違わず約40か国でグローバルモデルとして販売される。世界を相手に立ち回る16代目クラウンに勝算はあるのか!?
文/桃田健史、写真/TOYOTA、ベストカー編集部
■グローバルでも勝算ありのワケ
日本のユーザーがアッと驚く大転換を果たした、トヨタ新型「クラウン」。世界約40か国に向けたグローバルカーとして生まれ変わった。
これまでも、歴代クラウンでは一時期アメリカで、また中国などでも販売されたことはあるが、名実ともにトヨタの世界戦略車として製品企画されたのは今回の16代目がクラウン史上で初めてとなる。
トヨタは、クラウンのグローバル化に勝算ありと見ている。
発表記者会見では報道陣との質疑応答の際、トヨタのデザイン領域総括部長であるサイモン・ハンフリーズ氏が「自動車に対してプレミアムな体験を求めている人々は(グローバルで)多様性を求めている」という表現をしている。
さらに、「この多様性(というトレンド)は、日本以外でも中国や欧州などでも見て取れる。(トヨタとしてクラウンの)商品としての価値を(グローバルに)伝えていくいいチャンスだと思う」とも言う。
■本当に売れるのか? クラウンクロスオーバーで考える
新型クラウンは海外で、本当に売れるのだろうか?
ここから先は、筆者の海外での自動車関連の取材を基に予測してみたい。
なお、対象とするのは、トヨタからすでに車両スペック詳細が公開されている、クラウンクロスオーバーに話を集約する。
まずは、北米市場だ。
アメリカの自動車メディア各社は、「新型クラウンがアバロン後継になるようだ」という記事を掲載している。
アバロンは、1990年代中盤に登場したC/Dセグメントセダンである。その頃、C(北米での小型)、C/D(北米での中小型)セグメントが北米市場の中核であり、トヨタは各々Cセグメントの「カローラ」とC/Dセグメントの「カムリ」が二枚看板だった。
そのひとつ上となるクラスのアバロンは、トヨタ既存客にとっての上位モデルへのステップアップやアメ車からの買い換え需要を見越したDセグメントモデルとして、ユーザーと販売店にとって重宝な存在であった。
そうしたアバロンの製品としての立ち位置は2000年代から2010年代になっても大きく変わらなかったが、「カローラ」や「カムリ」はともによりスポーティで上質な製品へと進化していく。結果的に、「カムリ」の上級グレードというイメージのアバロンの製品価値が不明確になっていったと思う。
要するに、アバロンは北米市場で”浮いた存在”になっていた。
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