■セダン凋落でクロスオーバーに勝機が!?
さらに、2010年代は北米市場が大きく変化した時期でもあった。C/Dセグメントセダンから北米ではコンパクトSUVへの急激なシフトが起こったのだ。トヨタでは、王道のカローラとカムリの販売が減少する一方、ラギッドでオフロードイメージを前面に押し出したRAV4の販売が一気に伸びた。
こうなってくると、北米でのアバロンの必要性はさらに弱まっていくことが避けられない情勢となってしまった。
ならば、アバロンをSUV、またはクロスオーバーに仕立て直してしまおう、という発想が出てきてもおかしくはない。
こうやって時系列で見てくると、北米では新型クラウン導入ありきで物事が進んだというよりも、北米でのSUVシフトのなかでアバロン後継に大きなビジネスチャンスが見えてきたので、「ならばクラウンをグローバルカーにして……」という発想が生まれたとも考えられる。
よって、北米市場ではすでに、新型クラウンの受け皿は充分に存在するため、当面は安定的な販売実績が見込まれるのではないだろうか。
ただし、少し気になるのはレクサスとの食い合いだ。上質かつスポーティな新型クラウンは「UX」や「NX」、さらに「RX」のライバルにもなり得るかもしれない。
■クロスオーバースタイルは中国でも強い!?
次に、世界最大の自動車市場である中国市場ではどうか?
そもそも、中国市場が拡大し始めた2000年代中盤以降、中国のユーザーはアメリカンライフへの憧れが強く、トヨタは北米モデルを意識したうえで、中国人好みの装飾を施すといった中国現地化の戦略をとってきた。
それが2010年代になると、生涯で2台目や3台目の新車への買い換え需要として、北米市場はもとよりグローバルで人気が高まってきたSUVへのシフトが中国でも進んだ。
また、中国地場のEVベンチャーメーカーのなかには、ボディ外観をクロスオーバーとして製品の先進性を高める傾向もあり、クロスオーバーに対する庶民の憧れも高まってきたと言える。
こうしたトレンドを鑑みれば、中国でも新型クラウンの需要は充分にあると思える。
■米中以外では苦戦もある!? トヨタの作戦はいかに
また、欧州については、トヨタはBセグメント、Cセグメントが主体であり、同時にレクサスの認知度が市場で高まっているなか、その中間に位置する新型クラウンをどうやって訴求していくのか?
そのほか、東南アジア、南米、中東、アフリカ、ロシアなどでは、従来のトヨタラインアップに厚みが増えるといったイメージだろうか?
正直なところ、前述のハンフリーズ・デザイン統括部長が言う「プレミアム市場での多様性」という言葉は、新型クラウンを導入するアメリカと中国では当てはめやすいと思うが、そのほかの国や地域では、そうしたイメージを持つのが難しいとも感じる。
果たして、トヨタはどんな手を打ってくるのか? 今後の動向を注視していきたい。
【画像ギャラリー】HELLO WORLD!! 天下の新型トヨタ クラウンがとうとう世界へ!! まずはクロスオーバーでご挨拶(10枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方クラウンっぽく無いフロントグリルだなと思っていたけどアバロン後継だとしたら納得した。