2022年8月にフルモデルチェンジを果たしたトヨタのミニバン シエンタ。いまや国産車でも数少ないコンパクトミニバンのニューモデルだ。
全長と全幅は評判のいい先代と同じで全高は20mm拡大。プラットフォームが1列目まではTNGAを採用し、2列目以降は先代モデルの改良版というところはユニーク。使い勝手でのトピックは2列目シートの前後スライド量を80mm拡大したのに加え、窓面積を広げるなど、乗る人の快適さを追求した部分。
パワートレーンは1.5L、3気筒NAとそれのハイブリッド。特にハイブリッドは走りにも燃費にもこだわったという。2列目シートがダイブダウンして広大な室内空間となるウリは先代と変わらず! 自動車評論家 山本シンヤ氏、島崎七生人、竹岡圭氏の3名はどんな印象を持ったのだろうか!?
※本稿は2022年11月のものです
文/山本シンヤ、島崎七生人、竹岡 圭、写真/ベストカー編集部、撮影/平野学
初出:『ベストカー』2022年11月26日号
■「身の丈+αなイイ物感あるデザイン。走行面も見事に刷新」山本シンヤ
歴代モデルで評価された使い勝手のいい5ナンバーボディを継承しながら、デザイン/メカニズムすべてが刷新された新型。
エクステリアはファンカーゴのイメージを継承したボクシーなのに優しさを感じるフォルム、インテリアはシンプルかつ機能的な空間で豪華さよりもカジュアルさを重視したコーディネイトで、どちらも「身の丈+α」なイイ物感があるデザイン。
サイズは全長、ホイールベースともに変更ないものの、3列7人乗り仕様は2列目のシートスライド量アップ(+80mm)で足元スペースは大人でも余裕。
ガソリン車は3000rpm以上回すとノイジーだが、実用トルクが太いエンジン+CVTの巧みな制御で一般道ではそこまで回す状況は少なめ。
ハイブリッドは余裕を感じるレベルで、アクセル開度少なめで交通の流れをリードできるくらいだ。
エンジン回転はガソリン車よりかなり抑えられているので、静粛性は高いレベルを実現している。
フットワークは基本素性を鍛えたことで「誰でも気負いなく」高性能を実感。
ステア系は女性でも扱いやすい軽い操舵力だが、正確性と直結感は高レベル。ハンドリングは操作に対しては忠実で、4輪を上手に使いながら自然かつ素直に曲がるので、旧型から乗り換えると「運転上手くなった?」と錯覚するほど。
快適性は凹凸乗り越え時の絶対的な入力の少なさはもちろん、ショックを抑え込むのではなく逃がすような吸収性で、優しいけどフワフワしない乗り心地を実現する。
結論。見た目は小柄で優しいけど中身は真面目で芯の通った強さを持つ「理想のお父さん」のような一台だ。
●山本 シンヤのトヨタ シエンタ採点表
・使い勝手:8.5点
・走行性能:9点
・内外装の質感:7.5点
・乗り心地:8点
・新しさ:7点
・コストパフォーマンス:9.7点
(TEXT/山本シンヤ)
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