道路交通法で軽車両と定義されている「自転車」は、原則として車道を走行しなければなりません。また、「自転車専用通行帯」が設けられている道路では、指定された通行帯を走行する必要があります。
しかし、実際の道路では、歩道を走行したり、車道と歩道を行ったり来たりしている自転車を見かけます。これらは、違反ではないのでしょうか。今回は、自転車の交通ルールを解説します。
文/齊藤優太、写真/齊藤優太、PhotoAC、AdobeStock
■そもそも法律における「自転車」とは?
自転車は、道路交通法では「軽車両」となります。
「軽車両」とは、人や動物の力で運転したり、他の車両に牽引されたりする車です。また、レールによって運転するものではない車となります。つまり、自転車・荷車・そり・牛馬などが道路交通法における軽車両となります。ただし、身体障害者用の車いすや歩行補助車等および小児用の車は軽車両に含まれません。
また、軽車両に分類される自転車は、ペダルまたはハンド・クランクを用いて、人の力により運転する二輪以上の車とも定義されています。さらに、一般的に使用されている自転車は「普通自転車」と呼ばれ、車体の大きさや構造が内閣府令で定める基準に適合し、他の車両をけん引していないものとなります。
内閣府令で定められている「普通自転車」の基準は、次のとおりです。
・車体の大きさ:長さが190cm以内、幅が60cm以内
・側車をつけていないこと(補助輪は除く)
・運転者以外の乗車装置を備えていないこと(幼児用乗車装置を除く)
・ブレーキ操作が走行中に容易にできる位置にあること
・歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと
いっぽう、基準に適合していない場合は、公道で乗ることができません。公道で乗ることができない自転車は、ブレーキを備えていないもの、前照灯がつかないもの、後部反射器材または尾灯が備え付けられてないものなどです。
そのため、公道を走行するためには、次のことを確認しておく必要があります。
・ブレーキが前輪と後輪にかかり、時速10km/hのときに3m以内の距離で停止させられること
・前照灯は、白色または淡黄色で、夜間前方10mの距離にある交通上の障害物を確認することができる光度のもの
・反射器材は、夜間において後方100mの距離から自動車の前照灯を照らしたときに、その反射光を容易に確認できるもの
このように自転車には、細かなルールが定められています。
■自転車に乗るときのルール(原則と例外)とは?
自転車は、車道の左側の端を走行するのが原則です。また、自転車専用通行帯(自転車レーン)が設置されているときは、指定されている通行帯を走行しなければなりません。
路側帯は、自転車の通行ができる場所とできない場所があります。自転車が通行できる路側帯は、白の実線1本の「路側帯」と、白の実線と破線の二重線が引かれている「駐停車禁止路側帯」です。通行するときは、道路の左側の路側帯を走行します(右側通行はできません)。ただし、歩行者の通行の妨げとなる場合は、路側帯の中を通ることができません。また、白の二重線が引かれている「歩行者専用路側帯」の中は、自転車の通行ができません。
自転車が歩道を通行できる例外は次のとおりです。
・道路標識等により歩道の通行が認められている場合
・高齢者や児童・幼児など自転車の運転者が車道を通行することが危険であると認められている場合
・道路工事や自動車との接触の危険性が高いなど、やむを得ない理由がある場合
このような例外の場面で歩道を走行するときは、歩道の中央から車道寄りの部分(普通自転車通行指定部分があるときは、その部分)を徐行しなければならないと道路交通法第63条の4に定められています。
また、歩行者の通行の妨げとなるときは、一時停止しなければいけません(普通自転車通行指定部分に歩行者がいないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行できます)。
原則と例外をまとめると次のようになります。
・原則:車道の左側端や指定された通行帯を走行
・例外:歩道の通行が可能な場合はあるものの歩行者が優先
・これらに違反すると交通違反となり罰則(罰金や懲役など)が適用されます
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