2023年1月26日、トヨタ自動車は緊急取締役会を開き、役員人事を発表。代表取締役社長である豊田章男氏が代表取締役会長に、社長に佐藤恒治氏が就任する。人事発表にあたり、豊田章男氏は「ステークホルダーの皆さんへ、わたしの思いを早く、正確に伝えたい」として、オンライン会見を実施。社長交代の狙いや、佐藤次期社長に期待するところを語った。
文/ベストカーWeb編集部、写真/TOYOTA、ベストカーWeb編集部
■「モリゾウとしての活動は変わらない」
「本日緊急取締役会を開き、役員人事を発表しました。ステークホルダーの皆さんに、より早く、正確に伝えるために緊急会見を開かせていただきました」
豊田章男氏の上記の言葉から始まったオンライン会見。豊田氏がまず語ったのは、「今回の社長交代人事のキッカケと、就任以来13年間の思い」だった。
「今回の役員人事のトリガーとなったのは、内山田会長の退任でした。これまで社長のわたしを支えてくれた内山田会長が退くにあたり、今後すみやかにトヨタの改革を進めていくためには、わたくしが会長となり、新社長を後押しすることが最善と判断した次第です」
豊田章男氏は1956年(昭和31年)5月3日生まれの66歳。2009年1月に社長昇任人事が発表され、同年6月の株主総会にて代表取締役社長に就任した。
「この13年間を振り返りますと、1日1日を必死にやってきたという思いが強いです。それぞれの現場でそれぞれの役割を果たしてきた皆さんに助けられ、クラウンやカローラといったロングセラーモデルが息を吹き返し、86やスープラといったスポーツカーが復活しました。この13年間で、バトンタッチの土台は作れたと思っています」
今回発表された人事によると、新社長に就任する佐藤恒治氏はくしくも豊田氏が社長に就任した時と同じ53歳となる。なぜ佐藤氏を後継者に選んだのか。豊田章男氏は以下のように語った。
「なぜ佐藤を(次期社長に)選んだかといえば、それは彼がトヨタの思想、信条、所作を身につけようと、必死に努力し続けてきた人だからです。そしてクルマが大好きな人だからです。
ある時、佐藤に”わたしの真似ではなく、個性を大切にしてほしい”と言った時に、佐藤は”モリゾウさん(豊田章男氏のセカンドネーム)は運転が大好きな人ですけれども、わたしはそんなモリゾウさんのような人を笑顔に出来るクルマが大好きな人間です”と答えました。
さらに付け加えるなら、若さです。これからのトヨタは、トップ自らが現場に立ち続けなければなりません。そのためには体力、気力、情熱が必要となります。それを佐藤は持っている。
佐藤には、一人で経営しないでほしい、チームで経営してほしいと伝えました。わたしの社長就任期間である13年間で、育てられたのは佐藤ひとりではないと考えております。ぜひ新しいチームで乗り越えてほしい。
わたし自身は、どこまでいってもクルマ屋です。クルマ屋だからこそ、トヨタの変革を進めることができたと思います。しかし、クルマ屋を超えられない。それがわたしの限界でもあると思います。
佐藤新社長を軸とする新チームのミッションは、トヨタをモビリティ・カンパニーにフルモデルチェンジすることです。
佐藤もわたしと同じクルマ屋だと思います。彼は、わたしが社長を引き受けたときと同じ年齢になりました。彼には若さがあります。そして、仲間がいます。わたしには、できないことでも、新チームなら、できると思います。
次世代がつくる未来。わたしは、それにかけてみたい。これからのトヨタにご期待ください。ありがとうございました。」
さわやかな笑顔でオンライン会見に臨んだ豊田章男氏。ちなみにオンライン会見後の内山田氏、佐藤氏との共同会見時に「なぜ今なんですか」という質問が飛んだ際に、豊田氏は笑顔で「内山田さんが退任するからじゃないですか」と語っていた。
な、なるほど……。今後のトヨタ(特にモビリティカンパニーへの変革!!)だけでなく、経済界、産業界への影響を含めて、モリゾウさんのこれからにも期待しております(なお会見中、「(取締役会長となっても)モリゾウとしての活動は変わらないのではないかな、と」(豊田章男氏)という言質は取りました!!)。
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