全部同じじゃないの!? ノンステップバスの定義が難解すぎる

全部同じじゃないの!? ノンステップバスの定義が難解すぎる

 大都会の路線バスを中心に普及が広まるノンステップバス。一口にノンステップバスと言っても、「普通」と「それ以外」が混在しているようだ。

文・写真:中山修一

■国が生み出した「普通」のノンステップバス

横浜市営バスの「普通」のノンステップ車各種
横浜市営バスの「普通」のノンステップ車各種

 出入口と車内の床面の段差を取り去って乗り降りをしやすくした、ノンステップ車をはじめとする低床バスが注目され既に20年以上が経つ。

 表立ってノンステップバスが出始めた1990年代後半〜2000年代初め頃は、メーカーごとに仕様がバラバラで、従来のワンステップやツーステップ車よりも車両価格が割高であったため、普及率が上がらないままだった。

 バリアフリー化を進めたい国としても、コスト高から来るノンステップ車の低調は解消すべき課題であった。その際、ノンステップ車の仕様を共通化してコストを抑え、普及率を上げていく試みが国の主導で行われることになった。

 こうして2004年1月から、国土交通省が定めた仕様の基準や条件を満たしたノンステップバス車両を対象にした、「標準仕様ノンステップバス」の認定制度がスタートした。

 認定制度は基本的にバスの製造メーカーが申請を行う。該当する車両が仕様に則っているかを国土交通省がチェックし、合致していれば認定となる。

 この標準仕様ノンステップバスが、言うなれば国がお墨付きを与えた「普通」のノンステップバスというわけだ。

 当初の標準仕様ノンステップバスには、乗降口の幅や床の材質、手すりの設置位置、降車ボタンの位置、車いすスペースの確保、車内の彩色など、併せて39項目が設けられていた。

 2015年にはバリアフリーの拡充と、従来の仕様では乗降に手間を要することのあった箇所を改善するべく仕様の改訂が実施されている。

 国土交通省の標準仕様ノンステップバスでは、車両の前ドアから中(後ろ)ドアまでの間にバリアフリー化の重点が置かれている。

 中ドアより後ろのスペースにも降車ボタンの位置や段差といった指定はあるものの、前方に比べると必要項目が少ない。

■どのバスが標準仕様なのか

 標準仕様ノンステップバスかどうかを見分けるのは比較的簡単で、大抵の該当車両には認定ステッカーが貼られている。バスを真横から見た姿をモチーフに「認定 標準仕様ノンステップバス 国土交通省」と書かれたものだ。

 色が3種類あり、2004〜2005年度までに認定されたものは白地に青色、それ以降〜2015年度までが白地に緑色だ。2005年以降はタイヤを模した箇所に「0 5」の数字が入っている。

2005年度〜15年度までの緑色「05」ステッカー
2005年度〜15年度までの緑色「05」ステッカー

 2015年度の仕様改訂に適合している車両には、白地にピンク色でタイヤ部分に「1 5」の数字が入れられたステッカーが貼られている。年代的に青色のステッカーは既に珍しいかもしれない。

 通常なら車体の前部・左側・後部に貼り付けてあるが、位置に厳密な決まりはないようだ。また、前・左・後ろのどこか1箇所にだけステッカーが貼られた車両も見かける。

次ページは : ■ステッカーなしのバスはどんな存在?

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