大排気量NAエンジンを搭載したレクサス IS500が、登場以来クルマ好きから絶賛されている。エンジン排気量のサイズダウン、さらには電動化が主流になった現代において、それでも大排気量NAが賞賛される理由について、クローズアップしてみた。
文/フォッケウルフ
写真/トヨタ、日産、ホンダ
■中高年を魅了してやまないレクサス IS500
地球温暖化対策と都市部の大気汚染対策として、世界各国で脱ガソリン&ディーゼル車の動きが加速し、大手自動車メーカーは電気自動車(EV)をはじめとした、電動車の普及を推進している。そう遠くない将来、内燃機関搭載車の割合は減少し、EVを中心とした電動車が新車市場における主力になると言われている。
そんなご時世にレクサスが、最高出力354kW(481ps)、最大トルク535Nmという動力性能を発生するV型8気筒5.0Lエンジンを搭載した「IS500 Fスポーツパフォーマンス」をISのラインナップに追加した。
日本導入に際し、まずは特別仕様車として「Fスポーツパフォーマンス ファーストエディション」が抽選販売された。900万円という高額にも関わらず抽選の申し込みが殺到した背景には、500台という限られた数であったことはもちろん、もはや絶滅危惧種と言われる大排気量のマルチシリンダーエンジンを搭載していることが影響したのは言うまでもない。
抽選に申し込んだのは、自然吸気の大排気量V8エンジンに惹かれた昭和世代の中高年ばかりであることは想像に難くない。900万円という価格の車両を手に入れるには、それなりに経済力が必要だし、なによりそれほどの大枚を叩く価値と意義がある! と思い切れるのは、強化された5.0LV8エンジンの性能の素晴らしさを知っているのはもちろん、若い頃に手にできなかったがゆえの憧れもあるだろう。
いずれにしても、中高年たちには、世界的にほとんど絶滅に瀕している大排気量のマルチシリンダーエンジンの能力や魅力を過去に味わった経験があり、「あの楽しさをもう一度」という強い思いがある。
特に昭和世代は、「大排気量=偉い」という、エンジンの排気量がクルマのヒエラルキーを決定づける要素のひとつであったことをよく理解している。だから、燃費や環境性能を高めるべくダウンサイジングされる排気量に寂しさを感じていたし、IS500”Fスポーツパフォーマンス”の登場に心を踊らせたのだろう。
とはいえ、IS500”Fスポーツパフォーマンス”は通常モデルでさえ850万円であり、KINTOでは取り扱っていないから、そうそう簡単に乗れるものではない。しかし、自然吸気の大排気量V8エンジンはもう堪能できない! と嘆く必要はない。たしかに”最新の”自然吸気の大排気量エンジンは、今後新たに登場する可能性は限りなく低いが、かつて存在した自然吸気の大排気量エンジンなら、これからも味わうことができる。
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