5ドアハッチバックのホンダ シビックe:HEVと3ボックスセダンのBMW 2シリーズグランクーペ。ボディ形状こそ違うが、実はサイズはそっくりな2台。グローバルモデルでもあり、意欲的な技術が多く詰め込まれた2台を厳しく評価する!
※本稿は2023年2月のものです
文/水野和敏、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部、撮影/池之平昌信
初出:『ベストカー』2023年3月26日号
■シビックと218dで対決
今回取り上げるのはシビックとBMW2シリーズグランクーペです。
一見、「なんでこの2台?」と思われるかもしれませんが、2台を並べてみればおわかりいただけると思います。
全長はBMWの4540mmに対しシビックは4550mm。全幅は両車1800mmで同じ。車体サイズ的にはほぼ同じです。ホイールベースはBMWが2670mmでシビックは2735mmとやや長いです。
3ボックスセダンのグランクーペと5ドアハッチバックのシビック、車型は違いますが、アメリカではこの両車は比較検討されるライバルなのです。シビックは代を重ねるごとに大きくなり、昔のアコードクラスのサイズです。
2シリーズは2ドアクーペだけがFRプラットフォームを採用し、それ以外のアクティブツアラーやグランクーペなどはエンジン横置きのFFプラットフォームを採用しています。2年ほど前に235iグランクーペを試乗、評価しましたが、今回はディーゼルエンジンを搭載したFFモデルを試します。
BMWの横置きエンジンFFプラットフォームは長い期間にわたり、多くの車種で共用されていますが、意欲的な設計を取り入れています。
外から見てもフロントアクスル(ホイールセンター)とAピラー(居室)の距離が長く、FR的なプロポーションが特徴的です。これはエンジンフードを開けるとわかるのですが、フロントサスペンションの取り付け部がダッシュパネルに対し大きく前進した位置にあります。
車体剛性的には取り付け部はダッシュ直付けがいいのです。しかしBMWは最近の技術トレンドとは逆行し、FR風なプロポーションを造るために、この構造としています。ただし、取り付け部の車体は補強メンバーでガッチリと支えられた構造で、突き上げや横力に対し、高い剛性を持たせています。
対してシビックの車体構造はFF車の最新の技術トレンドどおりです。サスアッパーをダッシュパネルに直付けして高い強度を出しています。さらにダッシュパネル部には補強メンバーを入れています。
これは車体やサス剛性の強化だけではなく、前突時にエンジンの上部がインストを押し出して、乗員に向かって突出するのを軽減する効果もあります。
2台をフロントホイールセンターの位置を合わせて並べると、Aピラーの位置が大きく異なります。BMWはずいぶんと後方でFR的キャビンバックのプロポーション。対してシビックは一般的なFFのキャビンフォワードです。
BMWはドライバーの頭がホイールベースのほぼ中心に位置します。一方シビックは4対6程度で前寄りに位置します。
コメント
コメントの使い方「スポーツモードに切り替えると、リアの減衰が強くなりますね。フロントはあまり変わりません。」とありますが、可変ダンパー(アダプティブ・サスペンション)はM235iにはオプション設定があるものの、この218dでは選べないはずです。
水野和敏氏はどんな車でも短時間の試乗であらゆる特性を見抜いてしまうようですが、こういった基本的な感受性に関して疑問符がついてしまうのは、どうなんでしょうか…?
3気筒ガソリンエンジンの118iと、ゴルフ、アウディA3,メルセデスAクラスの比較も興味あります。