きれいに洗車をした数日後、幸い雨も降らずボディはまだピカピカなのに、ホイールはもう真っ黒…。このホイールの汚れは、泥やほこりではなく、ブレーキのディスクローターとブレーキパッドから発生する微細な鉄粉。「ブレーキダスト」とよばれるこの鉄粉は、見た目がよくないだけでなく、ホイールの寿命を縮める要因にもなってしまいます。
ブレーキダストの発生要因とその対策、アルミホイールをきれいに保つメンテナンスについて、ご紹介します。
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:写真AC_ 海悠
写真:写真AC、BMW
欧州車や高性能車では、ブレーキパッドにスチール繊維が含有されるため、ブレーキダストが多くなる
クルマで一般的に採用されているディスクブレーキは、ホイールと一緒に回転するディスクローターを両側から摩擦材のブレーキパッドで挟む構造です。摩擦力によってクルマを減速、停止させるため、この摩擦によって削られたダスト(粉塵)が浮遊してアルミホイールに付着します。これが、ブレーキダストと呼ばれる黒い汚れの正体です。
一般的に、国産車で使われるセミメタルパッドは、スチール繊維を含まないノンスチールタイプがほとんどなので、パッドが摩耗してダストが発生しても、その成分の多くは樹脂なのでほぼ気体として大気に放出されます。一方で、高性能車や欧州車の多くは、スチール繊維の含有量を10%~30%程度まで増やしたロースチールの樹脂パッドを使用しており、耐熱性に優れ、ブレーキの効きがよいのが特徴ですが、その分摩耗が激しく、ローターとパッドの両方から鉄粉が飛散するので、ブレーキダストの付着が多くなります。BMWやメルセデスベンツなど欧州車でブレーキダストが付着しやすいのは、このためです。
こうして発生したブレーキダストは鉄粉であることから、突き刺さってしまうため、除去するのが大変。ただ、放置してしまうと、アルミホイールの寿命を縮めることにもなってしまうので、メンテナンスをしっかり行なわなければなりません。
鉄粉は、時間とともに腐食してホイール表面を侵食
ホイール表面に付着してしまったブレーキダストは、空気中の酸素と水分によって酸化して酸化鉄(サビ)に変化し、この腐食が進行してアルミ表面のクリア塗装を剥がします。その後、時間とともにさらに腐食が進行して表面がザラザラした状態に。この時、ザラザラした表面をコンパウンドやサンドペーパーのようなもので削ると、より酸素と水分に接触しやすくなり、腐食と侵食を助長させるので厳禁です。
またホイール表面のクリア塗装が剥げることで、そこから水分が入り込むことによって、ホイール自体もアルミの白サビとよばれる腐食が起こります。腐食が進行すると、見た目だけでなく、アルミの表面が朽ちてきてホイールの寿命を縮めることにもなってしまいます。
コメント
コメントの使い方良い記事。近年再び若年層がスポーツカーに乗る時代になり、まだ知識は詳しくないけれど高性能ブレーキ車オーナーって人も増えてますからね
記事以外で気を付けたいのは、ブレーキダストを嫌って、社外メーカーのグラフを丸ごと信じて低ダストパッドに換える方がいますが
その状態でサーキットに来ないでください。高速域では想像以上にブレーキバランス崩れていて大変危険ですし他の走行車に迷惑かかりますからね