バスや電車を使った旅番組に食べ物の要素は不可欠だ。では片道の走行距離が100kmを超える一般路線バスに乗り、途中下車しながら食べ歩く、テレビの旅番組のようなプランって実際に組めるのだろうか。
文・写真:中山修一
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■長大路線の宝庫・北海道が舞台
今回の舞台は北の大地北海道。50kmくらい平気で走ってしまう普通の路線バスがあちこちで運行している道内から、函館バスの310・311系統を選んで見ていこう。
函館バス310・311系統は、函館バスセンターから函館駅、森(もり)駅、八雲(やくも)駅、長万部(おしゃまんべ)駅を経由して長万部ターミナルに至る、総距離およそ110kmの一般路線バスだ。
停留所の数126カ所、3時間16分かけて全区間を走破する大変なボリュームで、乗りごたえは確かなもの。JR函館本線に並走する経路を辿るのも特色となっている。
この路線沿線に散らばる、とりわけ食い気のありそうな場所を適宜ピックアップするとして、函館駅前のバスターミナルから出発しよう。
長大ローカル路線バスといえば本数が気になるところであるが、310・311系統もまたお約束に則り1日5本。とはいえ朝の第一便を狙うほど時間的に無理をする必要は全くないので、二便目の函館駅前10:15発からスタートする。
■お土産品とフィンガーフードの宝庫に立ち寄る
函館駅前を出て約45分、車窓からの景色もすっかり郊外感が出てきた頃、バスは「道の駅なないろ・ななえ」停留所を通る。名称の通りバス停の対向車線側に道の駅がある。
道の駅の隣にまた別の店舗が営業している。ジャガイモの一種である「男爵いも」と、その生みの親である川田龍吉男爵をテーマにした観光向け商業施設だ。
お土産品の販売コーナーはもとより、レストランやテイクアウトのフィンガーフードが超充実。道の駅と合わせて、食べ歩き旅にはうってつけの場所と言える。
函館駅前〜道の駅なないろ・ななえには11:00に到着、バスの運賃は720円だ。下車して買い食いをするところまでは至って簡単であるが、問題は次のバスが何時に来るかだ。
11:00の次の長万部方面は12:58。1時間58分の滞在時間が自動的に生じる。来た道を310・311系統で函館駅に戻ろうとすると14:13までバスがないため、そのまま先へ進むほうが効率良く感じる。
ちなみに道の駅の最寄りはJR函館本線の仁山(にやま)駅で、2.5kmほど離れている。駅まで登り坂が続くが、仁山12:38発の函館行き普通列車があり、戻るならそれを捕まえる手もある。