9月に開催されたF1日本グランプリは3日間の期間中、延べ22万2000人、決勝日の9月24日には10万1000人の観客がF1サウンドとバトルを堪能した。三重交通は周辺地域及び最寄り駅より臨時バスを増発し波動輸送を行った。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■三重交通は確実にアップデートしている?
9月23日の予選の行われた土曜日に乗車した。近鉄白子駅に到着したのは午前7時過ぎである。臨時バスの運行は6時から始まっており、ロータリーの先を見ると鈴鹿サーキットへ向かう観客が列を作っていた。
今年も駅前通りの道路を臨時バスの乗車スペースとして使用しており、道路上にはずらっとバスが列を作っていてどんどんと観客を乗せて出発していった。
列の形成は例年通りであるが、今回は駅前の駐車場なども借りて列が長くなってきた時に導線を流すためのスペースとして活用しているようだった。筆者が乗車した8時30分頃には駐車場へ列を引き伸ばしながら、駅ロータリーを囲むように整理しているところだった。
それでもバスの台数が増えていたためなのか、約20分ほどで乗車することができた。昨今の運転士不足の中でバスはともかく、運転士をこれだけ確保して波動輸送を行うとは三重交通の底力発揮だ。
■三重交通の専売特許?移動改札機は今日も健在!
観客を乗せたバスは鈴鹿サーキットへ向かう。駅前から西へ向かう市道では鈴鹿サーキットから駅へ戻るバスの隊列とすれ違う。道幅が広くないので、それぞれが広い部分で待機してやりすごし通過していく。
15分ほど走るとやや広い交差点に差し掛かり、左折する。この区間は国道23号中勢バイパスで、F1期間中の金曜日から日曜日までは一部区間を通行止めにして、シャトルバス専用道となるので三重交通は渋滞知らずで走ることができる。
ここまで来ると車の流れも一気によくなり、あっという間に鈴鹿サーキットの臨時駐車場へ約20分で到着した。バスを降りるとカラーコーンとコーンバーで区切られたエリアをしばらく歩くことになる。
特に案内はないが、人が進む方向へ付いていくと運賃を支払う「改札口」を通過する仕組みだ。大きく2つのテントが置かれていて、乗車券を持っていない人と、ICカードなど乗車券を持っている人が分かれて並ぶ。
臨時バス乗り場では乗車券等の販売は行わず、白子駅から乗車した際は降車時に、鈴鹿サーキットから乗車する際は乗車前に地上の「改札」で運賃を支払う仕組みだ。
バス車内では一切の精算を行わずに、全乗客は地上で運賃収受をするので、バスは迅速に乗降扱いをして駅に回送できる三重交通の専売特許的な移動改札機が大活躍する。
この改札機はバスの運賃箱を台車に乗せただけのように見えるが、電源装置も台車に接続されていて持ってさえいけば地上のAC電源で稼働できるという優れものだ。これを何台も持っている三重交通は、神宮参拝客のための波動輸送でも内宮前停留所等に設置して活躍している。
乗車券を持っていない場合は先に乗車券を購入して改札へ向かい係員に手渡す。ICカードは直接改札へと進みタッチすれば支払完了だ。ちなみに帰りは並べられたカラーコーンとコーンバーで区切られたエリアが待機列となり、乗車前に運賃を支払い駅では降車するだけに変わる。