大学の運動部と言えば、球技や陸上競技がメジャーな存在だが、同じ体育会に属している部活動に、クルマの運転技術を競う「自動車部」がある。いまいちマイナーな大学自動車部という存在に注目するこの企画、今回は専修大学自動車部にスポットをあてる!!
※本稿は2023年11月のものです
文/奥野大志、写真/ベストカー編集部、撮影/大石博久
初出:『ベストカー』2023年12月10日号
■整備工場顔負けの油っぽさ漂う空間!?
宙に浮いている無数のクルマや廃タイヤの上に鎮座するむき出しのエンジン、段ボール箱にストックされた無数のボルト&ナット……。こんなに油っぽい自動車部は久しぶりに見ました!
いったい月に何本のパーツクリーナーを使っているのでしょうか? 驚きのあまり聞き忘れてしまいました……。
今回お邪魔したのは専修大学体育会自動車部(SUAC)。専修大学は1880年(明治13年)に開校した、経済と法律の「専修学校」をルーツとする大学で、自動車部創立は1932年(昭和7年)。長い歴史を誇っています。
SUACのガレージは川崎市多摩区にある生田キャンパスから歩いて5分ほどのところにあります。
竹藪や建物に周囲を囲まれていることもあり、秘密基地オーラがビンビン! 居心地よすぎて授業に足が向かなくなるのではと、余計な心配をしてしまいます。
■仲の良さが自慢!!
取材陣を出迎えてくれたのは主将の福田颯人(はやと)さんと主務の田村拓人(たくと)さん。
福田さんはわざわざ自動車部のある大学を探して受験した生粋のクルマ好きで、先輩のおさがりのアルトワークスを所有。
田村さんは親御さん所有のミラを無断でカスタムしている清く正しい(?)自動車部の学生です。
「うちの部員は“ドリキン”を入れて20名。土屋という部員がいて、ドリフトをやっているので部員の間でドリキンと呼ばれているんです(笑)」(福田主将)。
ドリキンという言葉に過剰反応してしまった拙者とベストカー編集担当氏。福田さんと田村さんはとってもノリがよく、自動車部ライフをエンジョイしていることが会話から伝わってきます。
「他大学の自動車部には上下関係が厳しいところもあるようですが、うちはみんな仲いいですよ。昨年の新入部員の中に元気のいいやつがいて、1年生が仲よくなり、部全体も仲よくなりました。コロナの制限が解除されたのも大きかったと思います」(同)。
敷地内を見渡すと10人以上がガチ作業中。ツナギを着た部員が入れ替わり立ち代わりアルトの下に潜り、黙々と整備を行っています。
また、少し離れたところでは、2人の部員がエンジンクレーンとフロアジャッキを器用に駆使してレガシィのエンジンとミッションをリフトアップ。車体とのドッキングを試みています。
世間で言う“若者のクルマ離れ”とは無縁の光景。ここはクルマ好き大学生のユートピアか? そう感じてしまうほど濃厚かつスローな時間が流れています。
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