ピックアップも電動化は避けて通れない課題。ハイラックスの多くを生産するタイで48Vのディーゼルハイブリッド、BEV、そしてFCVモデルを一気乗り! 特にディーゼルハイブリッドはランクル70や250の2.8Lエンジンを48Vのマイルドハイブリッド化したもので、その出来はとっても気になるぞ!
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】驚きの工夫が満載! ハイラックスの電動モデルをズームして見て!(9枚)画像ギャラリー■来春欧州で発売される48Vマイルドハイブリッド
今回試乗した48Vのマイルドハイブリッドはランクル70やランクル250の直4、2.8Lディーゼルターボエンジンを電動化したものと考えればいい。欧州がメインターゲットになるが、日本でもこのエンジンが導入される可能性は小さくないはず。
2.8Lターボエンジンは最高出力204ps、最大トルク51.0kgmとランクル70と変わらないが、48Vのモータージェネレーターとリチウムイオン電池を組み合わせたマイルドハイブリッドを搭載。スペックこそ16ps、65Nm(6.6kgm)と大きくないが、発進加速でアシストするほかアイドリングストップ時間を長くすることで、通常の2.8Lディーゼルに比べ5%の燃費向上が見込まれるという。スペック上は満タンで1200kmも走るというから驚異的だ
さらにうれしいのは組み合わされるのが8ATということ。ランクル70が6ATだから250のトランスミッションということだ。この組み合わせが素晴らしい加速と高い静粛性を見せる。加速時のレスポンスのよさは思わず顔がほころぶほどで、100km/hの巡行ではリラックスした笑みに変わると言ったら言い過ぎか。少なくともピックアップであることを忘れさせる気持ちのいい走りだ。
リチウムイオン電池の重さはわずか7.6kgで、ダブルキャブの下に搭載されており、最低地上高や居住性に影響を与えない点もいい。日本ではハイラックスの人気が少しずつ増えているが、キャンピングカーのベースにするなら、このハイブリッドとトランスミッションの組み合わせは最高だろう。
■仕向け地別にBEVとFCEVもラインナップ
すでに開発を重ねてきているBEVモデルはbZ4Xのシステムを使っていて最大71kWhのリチウムイオンバッテリーとリアサスペンション上に80kW(109ps)のeアクスルを搭載したもの。乗るとリア駆動ということもあってスムーズな加速に加え、ドリフトもできそうで楽しい。満充電での航続距離は300kmくらいというから、お得意先回りなら充分だろう。
BEVは観光地として有名なパタヤでソンテウ(荷台に向かい合わせで10人以上が乗るバス)として実証実験がもうすぐ始まるという。タイではソンテウが人々の足にもなっており、1日に走る距離は100kmほどというから、機能的にはぴったりはまり、足元からの電動化として注目される。
またFCVモデルは英国政府のサポートを受けて開発が続けられているものでMIRAIのコンポーネントを使用している。乗った印象は車重の関係か、BEV以上にどしっとした印象で、高速走行も安定感があって問題なくこなしてくれそうだ。なるほど、FCVは商用車にこそ活路があるというのは本当だと思った。
英国を含む欧州ではピックアップのゼロエミッション化が進んでいるが、BEVよりも航続距離が長いFCVに注目が集まっている。実際に600kmとBEVの2倍の航続距離と持ち、ダブルキャブのユーティリティは大きな可能性がありそうだ。
ハイラックスの電動モデル3台を一気乗りしたが、商用車の電動化もマルチパスウェイを掲げるトヨタのカーボンニュートラルへの取り組みがよくわかる機会だった。日本もこの波がやってくるに違いない。
【ハイラックス・ディーゼル・ハイブリッド主要諸元】
全長×全幅×全高=5325×1900×1865mm WB=3085mm
エンジン=直4、DOHC 2755㏄ターボ エンジン
最高出力=204ps(150kW)/3400rpm
エンジン最大トルク=51.0kgm(500Nm)/1600~2800rpm
モーター最高出力=16ps(12kW)
モーター最大トルク=6.6kgm(65Nm)
トランスミッション=8AT
サスペンション=前ダブルウィッシュボーン 後リーフスプリング
乗車定員=5人
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