WRCにつながる一本の道ができた。モリゾウチャレンジカップは全日本ラリーに新設された、ヤングドライバーによる新しいカテゴリーだ。1年間全8戦中6戦が有効ポイントとなり、成績優秀者にはフィンランドにわたり、WRCトヨタチームのインストラクターにラリー講習を受けられるという特典がもらえる。ここで、認められれば本場欧州のラリーに挑戦でき、WRCドライバーになることも不可能ではない。大きな可能性を秘めたモリゾウチャレンジカップ第1戦ラリー三河湾の模様をレポートしよう。
文/写真:ベストカーWeb編集部
■8人の若武者がエントリーするモリゾウチャレンジカップ
日本人初のWRCレギュラードライバーの座を勝ち取った勝田貴元選手に続く、日本人ドライバーの育成が日本のラリー界の大きな課題だ。すでにトヨタは『WRCチャレンジプログラム』という育成を開始している。
これは公募を行い、選考会でドライブのスキルやメンタル面をテストし、資質のある若手ドライバーを選び、フィンランドで育成するシステム。現在第2期生と第3期生がフィンランドでトレーニングを積んでいる。基本的にラリーの経験や成績は問われないのが特徴だ。
それに対してモリゾウチャレンジカップは25歳以下のドライバーが対象で、ラリーチャレンジの上位成績者や全日本ラリー経験者は29歳以下の参戦も可能になる。車両はGRヤリスのワンメイクとなり、JN-2クラスながら、参戦費用を抑え、イコールコンディションにするため、より改造範囲が狭いことが特徴だ。
全日本ラリーのなかに作られたことで、勝田範彦選手やコバライネン選手、新井大輝選手といったトップクラスと自分との実力差がわかる。世界を目指すなら彼らをお手本にしなければならない。
また、モリゾウチャレンジカップに参戦する若手同士で競い合うことで、テクニックやメンタルが鍛えられ、フィンランドに渡った時のトレーニングが、より実践的なものとなり、大きな効果が出ることが期待できる。
第1戦三河湾ラリーに参戦したのは若武者7人(1人は次戦から参戦)。WRCチャレンジプログラム経験者の大竹直生選手や全日本ラリーのクラス優勝経験がある山田啓介選手、さらにフォーミュラドリフトジャパンのチャンピオン、KANTA選手といった注目選手がいるいっぽう、ラリーが初めての選手もいると経歴はさまざまだが、WRCドライバーを夢見るという点では皆同じ。
そんな彼らが参戦したラリー三河湾は初めての開催ということもあるが、若い彼らの存在が全日本ラリーに活力を与え、フレッシュなものにしていたのが印象的だった。そして、ベテランドライバーやスタッフたちも、彼らを育てていかなければという思いがあるようで、やさしく言葉をかけていていい雰囲気のなか開催された。
■モリゾウさんに大会の印象を聞いてみた
ラリー三河湾にやってきたモリゾウさんは、若いドライバーと言葉を交わし「私も緊張しました(笑)」と第一印象を教えてくれた。そして、「若い人たち同士はもちろん、ベテランドライバーと切磋琢磨することで、鍛えられ、成長するはず」と話す。
そして、「世界を目指す若いラリードライバーたちの戦いが盛り上がり、(勝田)貴元選手に続くドライバーが誕生することを期待するのはもちろんですが、子どもたちが彼らにあこがれ、クルマを好きになり、新しい未来を作られていくという大会になるといいと思います」と教えてくれた。
そして「若い人たちが増えると全日本ラリーの大会自体が活気づきますね!」 とモリゾウチャレンジカップ開催が与える影響にも満足そうだった。
コメント
コメントの使い方