落とし穴はスマホナビ！原付バイクが高速に誤進入する原因と回避テク

2025年12月9日 / バイクコメントする

日常の足など手軽な移動手段として人気の原付バイクですが、高速道路や有料道路の走行は法律で禁止されているのはご存じの通り。ところが、意外に間違って入ってしまう原付バイクも多いようで、高速道路のSAやPAでは注意喚起のポスターなどもよく目にします。
では、実際に、原付バイクでうっかり高速道路などに入ってしまったら、どう対象すればいいのでしょうか？　また、予防法にはどんなものがあるのでしょうか？

文/平塚直樹

125cc以下のバイクは高速を走れない

　まずは、そもそもの話。法律上で、高速道路を走行できるバイクは、125cc超～250cc以下の「軽二輪（二輪の軽自動車）」と250cc超の「小型二輪（二輪の小型自動車）」という決まりがあります。つまり、125cc超のバイクでないと走行不可。原付一種や原付二種といった原動機付自転車は走行できないのです。

125cc以下の原付バイクは高速道路を走行できない

　なお、もし125cc以下のバイクで高速道路などに進入・走行した場合は通行禁止違反となり、以下の罰則を科せられます。

【通行禁止違反の罰則】

・反則金：原付二種6000円、原付一種5000円
・違反点数：2点

首都高では年間400件もの誤進入が発生！

　ところが、実際には、高速道路や有料道路に誤進入してしまう例は、意外と多いようです。

　たとえば、東京圏を通る首都高速道路（以下、首都高）では、歩行者や自転車も合わせて年間で約400件もの誤進入が発生しているといいます。なお、この約400件という数字は「立入者の保護件数」。首都高側が認知して保護した数なので、認知していない事例もあるとすれば、さらに件数は多くなるといえます。

首都高速道路では、年間400件程度（立入者の保護件数）の立入が発生しているという

原付・自転車・歩行者別の首都高速道路の立ち入り件数（出展：首都高ドライバーズサイト）

　しかも、こうした誤進入の全件数のなかで、原付が占める割合は2024年度で83%。また、年齢層的には30代〜40代が36％で最多、20代が30％で2位となっています。そして、これらデータから、原付バイクを利用する若い世代が首都高に誤進入するケースが多いことがうかがえます。

近年、原付を利用した若者による首都高への立入りが目立っている（出展：首都高ドライバーズサイト）

誤進入の約6割がスマホナビを使用

　さらに、首都高によれば、原付や自転車の利用者で首都高に立ち入ってしまった人のうち約6割（2024年度）が、スマートフォンなどのナビアプリを使用していたといいます。

　近年は、バイクでも、ハンドルなどにスマホホルダーをセットして、スマホをナビとして使うライダーも多くなりましたよね。そして、どうもこの際に、原付ライダーなのにアプリの設定を「高速道路や有料道路を使う」仕様にしていたことが要因のようです。スマホナビの指示通りに走ったところ、首都高に案内され、そのまま入ってしまったなどのケースが考えられます。

原付や自転車の利用者で首都高への立ち入ってしまった人のうち約6割（2024年度）が、スマートフォンなどのナビアプリを使用していたという

　また、前述した首都高へ誤進入する原付ライダーに若い世代が多いのも、シニア層などと比べると、走行中にスマホナビをよく使う層だから、ということも類推できます。

　そして、こうした事例は、首都高だけでなく、たとえば、東名高速道路や中央高速道路などを管轄するNEXCO中日本でも、同様の注意喚起を実施。ポスターや公式WEBサイトなどで、原付バイクのライダーなどがスマホのナビアプリを利用する際は、「高速道路等を使わない経路案内」に設定するように呼びかけています。

NEXCO中日本では、原付ライダーがスマホのナビアプリを使う際の設定に関する注意喚起のポスターも制作（出展：NEXCO中日本）

もしうっかり進入したらどうする？

　ともあれ、原付バイクのライダーは、くれぐれも高速道路や有料道路に入らないよう注意したいものです。とくに、高速道路は最高速度が80〜100km/hの場所がほとんど。そもそも法律で最高速度30km/hと決まっている原付一種や、最高速度60km/hの原付二種とは速度域が違います。クルマなどと一緒に走るのは極めて危険なのです。

　でも、誰もが「ついうっかり」ということはあり得ます。では、もし誤進入してしまったらどうすればいいのでしょう？　

　対処法は、まず、走行中に間違いに気づいた場合は、近くのインターチェンジ・料金所まで行き、係員に相談することをおすすめします。

　では、インターチェンジや料金所などが近くにない場合は？　このケースでは、とにかく安全な場所に退避し、高速道路に設置してある非常電話やスマートフォンから警察や高速道路の管制センターへ連絡し、指示を仰ぐことが望ましいでしょう。そして、その後は安全を確保しつつ、指示通りに行動しましょう。