2011年登場の先代プリウスをベースとしたミドルステーションワゴン&7人乗り3列シートミニバンであるプリウスα。
登場から9年が経ちながら、昨年は1万1450台(月約950台)という堅調な販売をキープしている。ここでは「プリウスαの販売が堅調な理由」を考えてみた。
文:永田恵一/写真:TOYOTA
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■プリウスαってどんなクルマ?
冒頭の内容に加えプリウスαを簡単に紹介すると、プリウスαはステーションワゴン&ミニバン化のためボディサイズを先代プリウスに対しホイールベースを含め拡大したほか各部も強化。搭載される1.8リッターハイブリッドは先代プリウスと共通だが、重量増に対応しファイナルギアをローギヤード化している。
また駆動用バッテリーは5人乗りのステーションワゴンは実績あるニッケル水素タイプだが、7人乗り3列シートは3列目シートを加えるため、ニッケル水素よりもコンパクトなリチウムイオンタイプを前席センターコンソールに配置。ちなみに燃費や動力性能はどちらも変わらない。
なおプリウスαは2014年にフロントマスクが変更されるなどのマイナーチェンジ、2017年には現在の最新のものからすれば旧世代となるが、自動ブレーキ&運転支援システムのパッケージとなるトヨタセーフティセンスを全グレードに標準装備とする一部改良なども行われている。
■なぜプリウスαは今も堅調に売れるのか?
2014年のマイナーチェンジと2017年の一部改良を受けているとはいえ、登場から9年が経つプリウスαが、なぜ今も堅調に売れ続けているのか、その秘密を紐解いていこう。
・売れる理由その1:ニッチとなったミドルステーションワゴン市場、ロールーフミニバン市場では競争力がある
これが最大の理由だと思う。
5人乗りが属するミドルステーションワゴンから見ていくと、現在日本車でプリウスαのライバルとなるのはトヨタ社内のカローラツーリング、生産終了間近となっているホンダ・ジェイドの5人乗り、スバル・レヴォーグくらいである。
その中でプリウスαはカローラツーリングと比べてリアシートとラゲッジスペースの広さ、ジェイドと比べてハイブリッドのフィーリングの自然さとリーズナブルな価格、レヴォーグと比べて圧倒的な燃費というアドバンテージがあり、この中からプリウスαを選ぶユーザーがそれなりにいるというのも理解できる。
7人乗り3列シートが属するロールーフミニバンの方は、かつては近いジャンルにトヨタ・ウィッシュ、日産・ラフェスタ、ホンダ・ストリーム、マツダ・プレマシーがあった。
しかし、ノア三兄弟のようなボックスタイプのミニバンの台頭により4台とも絶版となり、現在プリウスαに近いのはホンダジェイドの6人乗り3列シートだけだ。
プリウスαの7人乗り3列シートとジェイドの6人乗りハイブリッドを比べると、プリウスαには前述したハイブリッドのフィーリング、乗車定員が1人多いことと3列目の広さ、価格も若干安いというアドバンテージがあり、弱点がないという見方でプリウスαが選ばれるケースが多いと思われるのはよく分かる。
・売れる理由その2:タクシー用途への需要がある
プリウスはタクシーに使うには先代、現行モデルともにリアシートの頭上空間の狭さが弱点だ。
この点を考えるとリアシートとラゲッジスペースが広いプリウスαは荷物が多くなる空港の行き来をするタクシーにも使いやすく、ベーシックなSLセレクションは261万2500円とリーズナブルなこともあり、一般ユースに比べれば僅かにせよ、タクシーとしても一定数売れているのではないだろうか。
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