■立ちはだかるコストの壁! 夢の電動ターボは夢のまま終わるのか!?
そのため、現代のF1エンジン開発の最前線はMGU-HやMGU-Kなどのエネルギー回生とそのマネジメントシステム。ボア・ストロークやECUまで共通では内燃機関部分で差をつけるのは難しく、ターボやバッテリーなどの補機の領域が開発の焦点となっている。
結果として、現代のF1エンジンの全開時の熱効率は驚くほど向上し、一説には熱効率50%に達するという報道もある(論文が公開されていないので誰も確認できない)。そこで電動ターボに(MGU-H)よる熱エネルギー回収が大きな役割を果たしているのは間違いない。
そんな「夢の電動ターボ」なのだが、やはり量産車に応用するとなると立ちはだかるのはコストの壁だ。
高温のターボチャージャーのすぐそばで10万回転以上で小型発電機をブン回すんだから、シロートが考えたって技術的なハードルは高い。最近のニュースによると市販第一号はメルセデスAMGと噂されているが、やはり最初はスポーツカーや高級車への導入とならざるを得ない。
そうなると、懸念されるのが燃費向上の実効性だ。
■普及のカギは費用対効果! 燃費効果が低ければマニア向けで終わる可能性も
2021年モデルからEUが要求する走行1kmあたりCO2排出量95gという燃費規制は、リッターあたり走行距離に換算すると約24.5km/Lになり、これは電動化技術の助けを借りないと達成不可能なレベル。
ハイブリッドで日本勢(というよりトヨタ)に後れをとる欧州メーカーは、48Vマイルドハイブリッドで当面を凌ぐ考えだが、電動ターボはその48Vシステムに統合されて車両トータルとしてエネルギー効率を高めるための補機として機能する。
※48Vマイルドハイブリッド/「LV148」という規格に基づいてドイツメーカーを中心に進められている。48Vのリチウムイオンバッテリーを用いて、減速時に発電した電力を活用して燃費を向上させる。
つまり、市販型電動ターボはCO2排出量削減にどのくらい貢献できるのかが焦点。リーズナブルなコストで燃費効果があれば安いクルマまで普及して好循環が期待できるが、それが逆であればハイパワーターボのレスポンスを向上させるマニア向けパーツで終わる可能性もある。
ぼく個人の見解としては、F1テクノロジーの応用に興味を惹かれるものの、コストパフォーマンスという面では量産車には難しいテーマなんじゃないかと思うなぁ。
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