新型MX-30をマイルドHVから発売するマツダの狙いと背景

新型MX-30をマイルドHVから発売するマツダの狙いと背景

 EVでもロータリーレンジエクステンダーでもなくマイルドハイブリッドから発売!?

 7月31日、マツダはオートモービルカウンシルに新型MX-30を出展。同時に、マイルドハイブリッド(HV)仕様の「e-SKYACTIV G」を世界初公開した。

 MX-30は、先にピュアEV仕様が公開されており、さらにマツダの象徴ともいえるロータリーエンジンを活用したレンジエクステンダー仕様の存在も示唆されていたが、マイルドHVという“第三のパワーユニット”が存在することがわかったのだ。

 それだけでも驚きだが、新型MX-30は今秋、このマイルドHV仕様から発売を開始するというのだ。

 なぜEVでもレンジエクステンダーでもなく、マイルドHVから発売するのか? その背景に迫る。

文:鈴木直也/写真:大音安弘、MAZDA

【画像ギャラリー】EV? ロータリー? いいえ、マイルドHVです! マツダの狙いを新型MX-30で見る!!


■“マツダ初のピュアEV”の新型MX-30ながら発売はマイルドHVから

EVとして発売されると思われていたMX-30だが、日本市場でまず発売されるのはSKYACTIV G+24Vのマイルドハイブリッドシステム仕様だ

 MX-30といえば、2019年11月の東京モーターショーで初公開されたマツダ初のピュアEV。そう認識している人が多いと思う。

 かくいう筆者もその一人。7月31日、幕張メッセで開催中の「オートモビルカウンシル2020」でMX-30の最初の市販モデルが公開されると聞いて、「このコロナ禍にEVを投入するとは攻めてるなぁ」と、ノンキに感心していた。

 ところが、てっきりEV(もしくはレンジエクステンダーEV)だと思っていたそのMX-30、日本市場でまず発売されるのは、SKYACTIV G+24Vマイルドハイブリッドシステム仕様というじゃありませんか。

 「うーむ。やっぱりこのご時世にEVは厳しいか……」と、いま現在自動車メーカーが直面している市場環境の厳しさを、あらためて認識した次第です。

 そもそも、MX-30のEV仕様はいまどきのEVのトレンドに対して「逆張り」ともいえるコンセプトが特徴。電池テンコ盛りで航続距離を競うのではなく、電池容量35.5kWh/WLTCモード航続距離200kmという「ほどほどのEV性能」に留めているのがポイントだ。

100周年記念モデルとして発表されたMX-30。マツダ100周年記念モデルは全モデルがこのカラーで統一されている

 もちろん「いまさら初期型リーフ並みの航続距離かよ」という声が上がるのは百も承知。「航続距離が必要なら、レンジエクステンダーもあるしPHV仕様も用意します。重く高価な電池をテンコ盛りするより、そっちの方がトータル効率がいいですよ」という主張なのだ。

 このあたりは、ほぼ同等のEV性能にしてきたホンダeともあい通じる部分で、筆者はこれを勝手に“EV 2.0”と呼んでいるんだけれど、普通のファミリーカーをEVに置き換るのではなく、限定されたシティユースやセカンドカー向けのEVを狙った企画。 

 マツダやホンダは、そういう用途に限定しないとEVでは現状採算がとれない、そう考えているのだ。

 だから、MX-30というクルマ全体を理解するには、マツダが想定しているバリエーションが全部揃ってからでないと難しい。

■なぜNX-30はe-SKYACTIV Gから発売開始に?

新型コロナウイルスがマツダの開発・販売戦略に少なからず影響を与えたのでは……というのは筆者の考えすぎだろうか

 本来なら、まずCO2排出量規制がいちばん厳しい欧州でEV仕様を出し、しかる後に目玉商品ともいえるロータリー・レンジエクステンダーが華麗にデビュー。

 やっぱり、「マツダといえばロータリーだよね!」という評判を盛り上げたところで、日本や北米でより実用的なハイブリッド仕様を導入する。そういったシナリオを考えていたのではないかと思われる。

 ところが、世の中は未曾有のコロナ騒動でしっちゃかめっちゃか。採算性の厳しいEV仕様の量産化にはものすごい逆風が吹いているし、EVが出なけりゃロータリー・レンジエクステンダーも出しようがない。

 そこで、CX-30と被ってしまうことには目をつぶって、まずはいちばん無難なバリエーションから……。それが、MX-30がマイルドハイブリッド仕様からのデビューとなった理由と思われる(あくまで筆者の想像)。

次ページは : ■懸念はCX-30とのバッティング?

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