■屋台骨はSUV アキュラ最量販車は「RDX」
今や屋台骨となっているのが、もう一つの主力、SUVである。米国規格だとコンパクトとミッドサイズの2種類のSUVを用意。
コンパクトSUV「RDX」は、北米アキュラで最も好調なセールスを記録するモデルだ。プラットフォームこそCR-Vと共有するが、各部は専用に開発されており、ビジュアル面での共通性は皆無。
ファミリー色はなく、スポーティかつアバンギャルドな都会派クロスオーバーに仕立てられている。パワートレインも、10ATを組み合わせた2.0Lの4気筒ターボエンジンを搭載する。
もう一台が、アキュラSUVのフラッグシップとなる「MDX」だ。ミッドサイズとはいえ、5m弱あるボディは迫力満点。アキュラ唯一の3列7人乗り仕様となるが、走りへの妥協もなく、ニュルブルクリンクでの開発テストを実施しているほど。
3.5LのV6が基本だが、フラッグシップセダン「RLX」同様に、3モーターハイブリッドとSH-AWDを組み合わせた仕様も用意。こちらはエンジンが3.0LのV6に変更される。
番外編として、中国市場専用車も簡単に紹介しよう。ミッドサイズセダン「TLX」は、中国では仕様を変更し、ロングボディの「TLX-L」に。標準ボディなしというのが、いかにも中国らしいところ。
ちなみに中国では、ロングボディが人気のため、他の高級車ブランドも、他市場には存在しないロングボディを設定することが多い。
中国の完全オリジナルとなるのが、「CDX」。プラットフォームこそヴェゼルのものを流用しているSUVだが、ボディサイズは一回り以上も拡大され、堂々たるものに。
キャラクターは、ヴェゼル同様に都会的かつスポーティな内外装だが、無論、異なるデザインとなり、豪華な作りだ。1.5Lターボと2.0Lのハイブリッドが展開される。この2車種は、いずれも中国で製造されている。
■米国発の強みを活かしきれていない!?
米国育ちのアキュラは、ホンダの米国戦略の巧みさから、日本の高級ブランドの先陣を切ることができたが、その成長と活躍には、歯がゆさも感じる。
すでにロシアやブラジルといった新規市場からの撤退。中国市場でも専用車を投入するなど努力しているが、現地でのホンダ車販売と比較すると、存在感は薄め。
また、念願だった日本導入も断念するなど、そのブランド力を活かしきれていないのが現状だ。主戦場となる北米での2019年の販売台数も、ホンダ全体の約9.4%に過ぎない。
輸入車ならば、仕方なしともいえるが、アキュラは、その99%が米国製。その強みが活かされていないとも映るのだ。
しかし、世界最大の自動車市場である米国を中心に展開するアキュラは、アメリカを第2の故郷とする日本の高級車だ。何よりも米国ファンの声に機敏に応える現地開発拠点もあり、そこではホンダではなく、アキュラ視点のクルマ作りが行われている。
アメリカナイズされたホンダらしい新たな高級車像が築ければ、今の世界の高級車とも異なる新しい存在となれるのではないか。そういう点でも、タイプS復活が予告させるスポーツセダン新型「TLX」の活躍に期待したい。
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