北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。第3回は、北海道では最もメジャーな野生動物・キタキツネです。
1978年に公開された映画『キタキツネ物語』で一気にメジャーになりましたが、北海道に旅行に来た方が、目にする可能性が最も高い野生動物かもしれませんね。
道北から道南、都市部から里山、高山まで、北海道に広く生息するキタキツネ。彼らを1年を通じて追っている圭さんが撮影した、厳冬をたくましく生きる姿をご覧ください。
写真・文/佐藤圭
僕の地元では、キタキツネの国まで信号待ちなしで行けます
キタキツネの繁殖期は1月~2月です。真冬の北海道は道南の一部を除いて、最低気温がマイナス10℃を下回ることも多く、極寒の日が続きます。深い雪に覆われた里山で懸命にパートナーを探すわけです。
そんな季節にたいへんだなあと思いますが、出産はその約2ヵ月後になります。暖かな春が来てエサが豊富な時期に子育てが始まるように繁殖しているんです。賢いですね。
キタキツネが愛を育むときには、パートナーと激しいケンカをします。そのバトルにオスが勝利すると、メスが受け入れてくれます。メスに勝てない弱いオスは子を生すことはできません。より強い遺伝子を残す術なのでしょう。
4月後半には可愛い子ギツネたちが巣から顔を出します。毎年、この時期が楽しみで仕方ありません。
子ギツネの毛は、キタキツネの特徴であるオレンジ色ではなく、グレイの産毛に覆われています。目の色も親の黄色とは違ってアイスブルーです。鼻も短いので、キツネの子というより、柴犬の子に見えます。
僕がキツネたちを撮影しているフィールドは留萌管内の里山です。山の入口まではもちろん車で行きます。近いところで約30km、一番遠くて約60kmありますが、信号にひっかかるということがほぼありません。人口密度が低い留萌管内では町を離れると信号自体があまりないんですけどね。渋滞のない地域に住んでいるのは幸せだな~と思います。
北海道でドライブなさる方にひとつお願いがあります。キタキツネは、北海道中に生息していて、道路にも平気で出てきます。キタキツネが近寄ってくれことがありますが、決してエサをあげないでください。
餌付けされたキツネは頻繁に道路に出るようになり、車に牽かれてしまうことが多いんです。野生動物との衝突を避けるためにも、エサはあげず、「ゆっくり走ろう、北海道」でドライブすることをお願いします♪
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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