待望の8代目ゴルフはVWの救世主になり得るか?
ないものねだりしていても仕方ない。そこで、今後日本に導入される新型車で再びVWは輸入車NO.1の座に返り咲くことはできるのか、分析していこう。
アナリストA氏:「すでに事前受注を始めたゴルフ8や先日発表したミッドサイズのパサートはフルモデルチェンジではなくビッグマイナーチェンジなので正直なところ真新しさに欠けます。しかしながら、これを逆手にとることで、的を絞った分かりやすい訴求ができるでしょう。
注目したいのはゴルフ8に搭載したVW初の48Vハイブリッドシステムを備えた1L、3気筒エンジンです。I.D.シリーズのようなピュアEVだけでなく、このような直接ユーザーにメリットを与えられる電動化技術を主力のゴルフに搭載してきた点は、さすがVWといえます」
と、A氏は辛口ながらも今後のVWについて期待感を滲ませる。これに大きくうなづいていたB氏もこう続ける。
元輸入車販売B氏:「これまでVWは技術の民主化やGTIやRに代表されるスポーツモデルの民主化など幅広い商品に最新の技術と装備を惜しみなく水平(VWグループ内)、垂直(ブランド内)展開し、魅力ある商品として世界中の人々に提供してきた類稀なる自動車メーカーではないでしょうか。
この功績は大きいと思います。当然、歴代ゴルフは歴史と伝統がありますから、今回の新しいテクノロジーもきっと良い出来になっていると思います」
アナリストA氏:「ただ1つ気になる点があります。そもそもゴルフ8の日本導入が大幅に遅れたのは、インフォテイメントの開発が原因と聞きました。この分野では「ハイ! メルセデス」で先陣を切った同じセグメントのAクラスに遅れること3年ですので、ゴルフへの期待は良くて当たり前。
したがって実際の操作性や使い勝手など、どこまでユーザーフレンドリーになっているのかきちんと検証したいですね」
たしかにクギを刺したA氏の言う通りかもしれない。BMWは世界同時発表、メルセデスも本国発売から数カ月後のタイミングで日本仕様を出してきている。これだけ時間を掛けたのだから、セグメントNO.1の機能と使いやすさでなければ再びVWユーザーやファンの期待を裏切ることになる。
VWは再び日本市場で人気輸入車NO.1になれるのか?
VWは今後、日本市場で輸入車人気NO.1ブランドに返り咲くことはあるのだろうか? A氏は厳しい表情を浮かべながらこう指摘する。
アナリストA氏:「正直厳しいと思います。現在の脆弱な商品ポートフォリオ、失った企業イメージ、活動を止めたユーザーコミュニケーションなど、本来企業として取り組むべきあらゆる企業としての情報発信が、首位のメルセデス・ベンツとは比べものになりません。
先ほども述べましたが、すでにVW包囲網は完成していて、ユーザーもVW以外に幅広い選択肢があることに気づいています。だからこそVWはいま一度基本に立ち返って、ユーザー目線での商品展開、ユーザーフレンドリーなイベントの企画やコミュニケーションを行うことが大事なんだと思います」
元輸入車販売B氏:「いまのVWに欠けているのはユーザー目線での思考です。ディーゼルゲート事件で顧客やファンとの信頼関係が切れたのですから、いま一度、問いかけから始めないとダメでしょう。
かつてのVWなら年に一度の大イベントがあったり、その他のイベントでも常にアットホームで、いつもユーザーの身近にいるブランドだって誰もが感じてました。VWファンやユーザーはそんなVWが好きで、心地よかったはずです。
今はコロナ禍で難しいでしょうが、かつてのようにフランクにフレンドリーにユーザーと接する機会を持つことでしょうね。たくさんのVWユーザーが新型車の導入なんかよりも、それを望んでいると思いますよ。そうすればもう一度人気輸入車NO.1になれると思います」
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VWは日本でも長年にわたって老若男女、国産車・輸入車、新型旧型というあらゆる垣根を越えて愛され続けてきたブランドに違いない。
たった一度のつまづきで、すべてを失うにはもったいない実力派ブランドだ。だからこそ「いま一度、VWにはVWファンやユーザーと一緒に手を携えて、人気NO.1輸入車ブランドへの道を歩んでほしいですね」と、3人の意見は一致した。
2021年初夏に発売を予定している新型ゴルフ8、2022年に導入予定のピュアEV、ID.シリーズを起爆剤に、ぜひ輸入車NO.1ブランドへ返り咲いてほしい。
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