■セダン&ワゴンだからこそ後輪駆動が生きる!
後輪駆動になる次期マツダ6の売れ行きは分からない。今はセダンとワゴンの販売が激減して、マツダ6の2020年における登録台数は、1か月平均248台であった。CX-5の2019台に比べると、約12%の販売規模だ。
多額の資本を要する後輪駆動のプラットフォームと縦置き前提の直列6気筒エンジンを開発して、マツダの経営は果たして大丈夫なのか? とも思う。
それでも開発する以上は成功して欲しい。今どきマツダ6を後輪駆動に変更するのは、時代錯誤のように思えるが、クルマ好きとしてはロマンを感じる。良い意味で昭和の香りも漂い、すがすがしさもある。
マツダ6が後輪駆動になると、CX-5やCX-8も連動して後輪駆動、あるいはこれをベースにした4WDになる可能性が高いが、主力はあくまでもマツダ6にすべきだ。後輪駆動を採用する根本理由は、優れた走行性能と外観のカッコ良さにあり、それは天井が低く低重心のセダン&ワゴンでこそ実現できるからだ。
特にセダンは後席とトランクスペースの間に隔壁や骨格があり、ボディ剛性を高めやすい。そのためにセダンであれば、走行安定性と乗り心地のバランスを究極的に向上できる。そこに前後輪の荷重配分が優れ、操舵輪と駆動輪を区分できる後輪駆動を組み合わせると、さらなる相乗効果が得られるわけだ。
そうなると次期マツダ6の訴求点は、「カッコ良さと運転の楽しさ」になりそうだが、そこは一考を要する。大切な魅力だが「カッコ良さと運転の楽しさ」だけでは弱いからだ。
セダンとワゴンは、機能的には前述の通り走行安定性と乗り心地が優れ、いい換えれば安全性と快適性が高い。この2つの要素は、今のトレンド技術とされる衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備と、運転支援機能を始めとする快適装備に重なる。セダンやワゴンは古臭いボディ形状と見られがちだが、安全と快適に優れ、時代のニーズと親和性が高いことをアピールすべきだ。
■次期マツダ6はマツダに相応しい有意義なチャレンジといえる
最近はクラウンがSUVに変更される噂もあるが、これもやめるべきだ。クラウンは長年にわたり、日本の道路環境に適した安全と快適を追求しており、それはセダンボディがあって実現できたからだ。
SUVにすれば流行に乗って売れ行きは伸びるだろうが、重くて高重心のボディではクラウンではなくなる。ハリアーの上級車種を開発したいなら、それは別の車名にすべきだ。
今はセダンの選択肢が激減して、マツダではマツダ3とマツダ6しか用意されない。トヨタもレクサスを除くと、一般ユーザー向けのセダンはカローラ/クラウン/カムリだけだ。
ここまでセダンが減ると、商品開発次第ではチャンスになる。「セダンが売れない」と言われるが、2020年の輸入車登録台数ランキングでは、BMW3シリーズがメルセデスベンツAクラスやVWゴルフに続いて5位に入り、Cクラスも9位だ。
従って優れたセダンを開発すれば、むしろ目立つこともある。「セダンが売れない」と言われるほど、セダンは嫌われていないからだ。
セダンの販売に陰りが見えた時、販売のテコ入れを行わず、商品開発を諦めたから市場規模が大幅に縮小した。「セダンを売れなくした」と考えるのが正しい。
セダンとワゴンが窮地に立たされる今、後輪駆動になる次期マツダ6は、マツダに相応しい有意義なチャレンジだ。マツダは果たしてセダンを救えるのか! 次期マツダ6に期待したい。
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