■競技用車いす=3輪ロードバイク
さて、このマラソンで使用される競技用車いすだが通常の四輪とは異なり、3輪でスピードを出すことに特化した造りとなっており、「レーサー」という名称で呼ばれている。
車いすマラソン自体の走行距離は通常のフルマラソンと同様の距離である、42.195kmを腕の力だけで走行する過酷なものだ。
今回の東京オリンピックの男子マラソンの優勝タイムが2時間8分38秒だったのに対し、車いすマラソンの優勝タイムは1時間38分11秒とまったく異なるものとなっている。
レーサーに乗る際は、正座かしゃがみこむ体勢を取る。ボディの特徴としては、タイヤは3輪で構成されており、後輪の2輪のタイヤサイズは26~27インチ、前輪は基本的に20インチとなっている。
後輪にハンドリムという車輪の外側に取り付けられたリングを両手で回転させて速度調整を行う。炭素繊維やカーボン製のディスクホイールが使用されており、その装備などから3輪のロードバイクとも言われている。
車重は平均的に8~9kg程度で、全長は約1700mm~1850mm、ホイールベースは約1200mmとなっており、ホイールベースが長いほど直進安定性能は高く、スピードを出しやすくなるが、小石など路面に少しでも障害物があって踏んでしまうと転倒のリスクが高まるそうだ。
また、コーナーリング性能が低下するというデメリットもあり、ギリギリの寸法を各チームが研究しているとのことだ。
レーサーは選手の体格に合わせて造られるため、同じものは一つとして存在しない特別なものである。
レーサーは外国メーカー製のほか、国内メーカーも多く手掛けているが、中でもホンダ・ホンダ太陽・八千代工業という統括・販売・製造をそれぞれ特化した三社が共同でレーサーを手掛けており、今後の車いすマラソンの展開に目が離せない。
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