ワイルド・スピード1作目公開から20年 日本車の世界的人気はどう変化した?

■世界的なJDM人気を作ったのもワイルド・スピード

 1作目が公開された頃から、「JDM」という言葉も徐々に世界へ拡散されていった。「JDM」とは「Japanese Domestic Market」の頭文字で、直訳すると「日本国内市場(仕様)」となる。

 右ハンドル、前後オレンジ色のウィンカー、バックする際の警告音、100km/h超えると鳴る警告音、小径ハンドル、深リムホイール、水中花シフトノブ、Pandemやロケットバニーなどでおなじみのリベット留めのオーバーフェンダーなど……、日本車独特の仕様や装備、カスタム手法を意味している。

 また、後述する「25年ルール」でアメリカに合法的に輸入される右ハンドルの日本車を「JDM cars」と呼ぶ場合もある。

 日本国内で「JDM」という言葉がクルマ好きの間に普及してきたのはこの2-3年と思われるが、「ワイスピ」の大ヒットによって日本人が知らない間に日本製スポーツカーの魅力が世界中に拡大していったと言えるだろう。

北米でも大人気となり、海外での国産スポーツカー大人気の火付け役ともなった名車R32スカイラインGT-R
北米でも大人気となり、海外での国産スポーツカー大人気の火付け役ともなった名車R32スカイラインGT-R

 そしてもうひとつ。JDMの爆発的な人気を後押ししてきたアメリカ特有の「25年ルール」の存在も大きい。

 「製造から25年経過した車両は米国保安基準(FMVSS)のすべてが撤廃されて合法的に輸入や登録が認められる」というもの(一部の州では例外あり)。以前からあったルールだが、ワイスピの大ヒット→JDMの違法輸入が急増したことでルールが厳格化されたとも言われている。

 1989年~製造のスカイライン GT-R(R32)が最初に25年ルール適用で合法的に輸入・販売されたのが、2014年。当時、R32の日本国内価格が急騰したことから、多くのクルマ好きが「25年ルール」の存在を知ることになった。

いまや日本国内でも大人気。数千万円クラスのタマも多いスカイラインGT-R(R34) V spec
いまや日本国内でも大人気。数千万円クラスのタマも多いスカイラインGT-R(R34) V spec

 話をワイルド・スピードに戻そう。2作目『ワイルド・スピードX2』(原題: 2 Fast 2 Furious 2003年)ではメインで活躍する日本車の登場は控えめになったものの、ストリートレースのシーンではR34GT-R 、S2000、RX-7(FD)、80スープラが登場。

 ピンクのS2000はデヴォン青木演じる、スーキーの愛車として登場。実は1作目に登場する悪役ジョニー・トランの黒いS2000と同じ個体で、黒→(青→オレンジ→)ピンクに塗り替えられた経緯がある。

ストリートレースシーンではアメリカではじめて合法的に輸入された右ハンドルのR34が登場 (C) 2003 MIKONA PRODUCTIONS GmbH _ CO. KG. All Rights Reserved.
ストリートレースシーンではアメリカではじめて合法的に輸入された右ハンドルのR34が登場 (C) 2003 MIKONA PRODUCTIONS GmbH _ CO. KG. All Rights Reserved.

 そして2作目にはもう1台、偉大なる日本車が登場する。

 ブライアンのスカイライン GT-R(R34/1999)だ。R34までのスカイラインGT-Rは国内向けのみで正規での海外輸出はされておらず左ハンドル車も存在しない。

 当然25年ルール適用前で、本来は合法的にアメリカの道路を走ることはできなかったわけだが、実は当時、日本人が作った「MOTOREX」という会社によって合法的なR34 が輸入されていた。同社が多額の費用を投じて衝突実験などを行いFMVSS(米国保安基準)適合に成功させGT-R を中心にR34スカイラインが10数台輸入されている。

 2作目に出て来る銀色ボディに青いラインのR34は米国で最初に合法登録された1台である。

次ページは : ■東京が舞台の3作目「TOKYO DRIFT」には強烈な個性を放つ日本車が多数登場

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