消滅しつつある今だからこそ再考したい歴史に残る名兄弟車列伝

日産 シルビア/日産 180SX

兄弟だからこそ売れた時代があった!! 消滅しつつある今だからこそ再考したい歴史に残る名兄弟車列伝
1988年に5代目として登場したS13は2ドアクーペのみの設定に。Q’sは主力グレードだった。S13の累計新車販売台数は約30万台と、歴代シルビアのなかでも最多となった

 ハチロクのライバルとして君臨していた兄弟、それが5代目となるS13型の日産 シルビアと180SXだ。登場したのはバブルの真っ只中の1988年。約1年遅れで180SXが登場。クーペらしい美しいフォルムを持つ兄のシルビアは瞬く間に若者の心を虜にして大ヒット。デートカーブームの火付け役となった。

 180SXは、シルビアの対米輸出用モデルとして誕生したクルマで、米国では240SXという名で販売されていた。

 シルビアには135psを発生する1.8リッター直列4気筒DOHC、NAエンジンを搭載するJ’s、Q’s、1.8リッター直列4気筒DOHC、ターボエンジンを搭載するK’sの3グレードが用意されたが、圧倒的な人気を誇ったのはQ’sで、販売比率は約7割を占めていた。デートカーとして持て囃されたのはQ’sのほうだ。

 最上級グレードのターボエンジン搭載車であったK’sは、いわゆる”走り屋”たちに大人気となり、生産終了後も長くチューニングカーのベース車両として活躍!? していた。

 いっぽう、弟分の180SXは、兄より硬派な印象。NAエンジンの設定はなく、1.8リッターと2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載する2グレード構成だった。ということで、実質的なライバルはシルビアK’sということになる。

 シルビアとの大きな違いはスタイリングだ。180SXはリトラクタブルライトを採用するとともに、アメリカンクーペを思わせるスタイリングを持っていた。また、リアシートバックを倒すと荷室スペースを広げられるといった細かな違いもあった。

 1993年、シルビアはフルモデルチェンジを迎えてS14型へ。しかし、180SXはS13型のまま販売を継続。途中、ビッグマイナーチェンジは実施されたもののフルモデルチェンジは行われることなく、1998年に生産終了を迎えた。

 そして、ボディサイズを拡大して3ナンバーサイズとなったシルビアの販売は低迷……。以降、S13のようなスターは現れることはなかった。結局、2002年、7代目のS15型を最後にシルビアはその長い歴史に幕を下ろすことになった。

 この兄弟車のユニークのところは共用パーツが多かったことから、180SXのボディにS13シルビアのフロントまわりを移植した「シルエイティ」なる改造車が登場した点だ。シルエイティは頭文字D内でも、女性ドライバーの佐藤真子の愛車として登場している。

マークII三兄弟

兄弟だからこそ売れた時代があった!! 消滅しつつある今だからこそ再考したい歴史に残る名兄弟車列伝
1984年に登場した70系から車名がコロナ マークIIからトヨタ マークIIに変更となり、コロナから独立して単独ブランドとなった。累計新車販売台数約35万8000台という驚異的なセールスを記録!

 マークIIの誕生は1968年。1977年にはチェイサーが、1980年にはクレスタが誕生した。この3台が「マークII三兄弟」と呼ばれた。この兄弟も、専売車種の振り分けのために作られたもので、マークIIはトヨペット店、チェイサーはオート店、クレスタはビスタ店で販売されていた。

 三兄弟が全盛期を迎えたのは1984年に登場したX70系の時。マークIIは5代目、次男のチェイサーは3代目、末っ子のクレスタは2代目の世代だ。

 マークIIは4ドアハードトップ/セダン/ワゴン、チェイサーは4ドアハードトップ、クレスタは4ドアセダンで構成された。

 とにかくこの三兄弟は売れに売れた。正直、当時は三兄弟のどこがどう違うなんて誰も気にしていなかったんだろうと思われるほど3車種とも売れまくったのだ。

 70系が販売されていた1984年8月~1988年7月の4年間で売れた台数は、約115万台!! マークIIに至っては、カローラに次ぐ月販台数を誇った。

 しかし、栄枯盛衰は世の習い……。バブル崩壊以降、三兄弟は凋落の一途をたどり、チェイサーとクレスタは2001年にヴェロッサにバトンを渡し、マークIIは2004年にマークXにバトンを渡すこととなった。

 しかし、後継車種であるヴェロッサは2004年に、マークXは2019年に姿を消すことに。こうして、マークII三兄弟の血統を受け継ぐクルマは現存しなくなってしまった。

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