「ADAS」と「AD」のおさらいと、各社メーカーの動向
ベストカー読者の皆さんは、「ADAS」(運転支援)と「AD」(自動運転)の違いをよくご存じだろう。
運転の主体は人間にあるけど、それをシステムがサポートしてくれるのがADAS運転支援機能。一方、AD自動運転機能は、運転自体をシステムが代行してくれる。つまりドライバーはハンドルに触れなくてもドライブが可能となる。例の「レベル」で言えば、レベル0から2がADAS運転支援機能で、レベル3から5がAD自動運転機能だ。
今、自動車メーカー各社から販売されている車両に搭載されているシステムは、基本的にはレベル2まで。ただし、なかには限りなくレベル3(つまり自動運転)に近いシステムを搭載したレベル2モデルもある。
世界で初めてレベル3の車両が販売されたのは2021年3月4日で、それはホンダの「レジェンド」だった。この先進機能システム「Honda SENSING Elite」を搭載したレジェンドは、公道使用可能なレベル3モデルとして100第限定で販売されたのだが、このモデルが搭載する「トラフィックジャム・パイロット(渋滞運転機能)」をオンにすれば、高速道路の渋滞中にドライバーはDVDを見ることができる! と話題になった。
ただし、狭山工場(埼玉県)の閉鎖に伴い、残念ながらレジェンドは2021年末で生産終了となっている。

また、昨年12月にはメルセデス・ベンツが、「レベル3での走行をドイツ政府から承認された」との報道が世界を駆け巡った。ただしその運用は限定的で、「ドイツ国内のアウトバーンにおいて、最高時速37マイル(時速約60km)までで使用可能」というもの。
とはいえ、これがハンズフリーで公道を走れるモデルの突破口となり、今後その普及に勢いがつく可能性は高い。
自動運転といえばテスラ社が想起されるが、同社においては現在まだレベル3以上のソフトを販売していない。「オートパイロット」や、「FSD」(Full Self-Driving / 完全自動運転)と呼ばれるソフトをオプションとして販売しているが、それらの機能はADAS、つまりレベル0から2までの運転支援システムだ。

イーロン・マスク氏は自身のツイッターで、希望的情報を流して世を攪乱する傾向があるが、同社のAD、つまりレベル3以上の自動運転システム搭載モデルがいつデビューするかは、現時点では不明だ。ただ、マスク氏のツイッターに関していえば、「2050年に火星へ100万人を入植させる」よりも「レベル3モデルの販売は近い」のほうが、はるかに信憑性は高い。
また、日本政府においても「2025年をめどに高速道路を走行する乗用車でレベル3よりさらに高度なレベル4を実現させる」という目標を掲げている。
事故を起こした時の責任は?
こうした状況のなかでは、AD(自動運転)に関する法整備を急ぐ必要がある。事故が発生した際、責任をとるのはドライバーなのかシステムなのか、その明確な法的基準がまだ十分ではないのだ。
レベル3においては、「ながら運転」をしていてもドライバーは責任を問われないとする改正道路交通法(2020年6月)が施行されたが、レベル4以上に関しては未整備のまま。ドイツでは2021年7月、レベル4に関する法改正がすでに施行されている。
ちなみにADAS(運転支援)においては運転操作の主体は完全に人間であり、事故発生時の全責任はドライバー自身がとることになる。
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