僕らの日本車がガラケー扱い!? もっと頑張らないといけない「不都合な真実」を忖度なしに語る!

僕らの日本車がガラケー扱い!? もっと頑張らないといけない「不都合な真実」を忖度なしに語る!

 ベストカー本誌の連載『一流分析』でおなじみの中西孝樹氏著『トヨタのEV戦争』が、おかげさまで売れゆき絶好調です。
 各媒体でも数多く取り上げていただき感謝、感謝なのですが、このたびビジネス系の人気Web媒体『現代ビジネス』にも関心を持っていただき、同誌編集次長にして中国に関する著作も多い、ジャーナリストの近藤大介氏と中西氏の対談が実現しました。
 
 詳細は『「トヨタのEV戦争」…世界的なEVシフトの激流の中で、トヨタは欧米中による覇権争いにどう挑もうとしているのか?』をお読みいただきたいのですが、そちらで掲載しきれなかった部分を、ベストカーWebでご紹介いたします。

TEXT/ベストカー編集部 PHOTO/西崎進也

強いから生き残れるのではなく、大きな変化に対応できるかどうかが問われている

自動車業界ナンバーワンアナリストの中西孝樹氏。このたび『トヨタのEV戦争』(講談社ビーシー/講談社刊)を上梓した
自動車業界ナンバーワンアナリストの中西孝樹氏。このたび『トヨタのEV戦争』(講談社ビーシー/講談社刊)を上梓した

近藤 トヨタは2023年4月に新しくBEVファクトリーを作りました。その狙いはどんなものでしょう?

中西 トヨタの従来からの開発組織には「正常進化」のDNAが流れています。でも、EVやSDVはゼロベースで考えなければなりません。過去の成功体験や技術には頼れないんです。だから従来からの組織とは切り離したBEVファクトリーを作り、そのプレジデントに加藤武郎さんという、中国BYD社に出向して中国のやり方を経験し、外からトヨタを見てきた人を起用したわけです。

近藤 新組織を作ったからといって、従来のやり方を変えていくのは簡単ではありませんよね。中西さんは『トヨタのEV戦争』で、トヨタや日産、ホンダなどの大メーカーを恐竜に喩えていらっしゃいます。

中西 テスラやBYDが切り開いていこうとしている未知のマーケットは、これから1000万台、2000万台規模の需要が生まれてくるかもしれないんですね。世界の新車販売台数の1〜2割になる可能性があります(コロナ禍前の世界販売台数は約9000万台)。

 小さな自動車メーカーはあえてそこに入って行かなくてもやっていけるかもしれませんが、トヨタのような大規模メーカーは、その新しい市場から逃げていくことはできないんです。そこから逃げるということは、事業構造そのものを変えるということになります。

近藤 小動物と恐竜の違いということですね。

中西 強いから生き残れるのではなくて、大きな変化に対応できるかどうかが問われる時代になっています。

 イーロン・マスクは既存のプラットフォームを破壊しようとしています。クルマはプラットフォームを厳密に固めて、それを改良しながら5〜10年間使うのが一般的です。多くのサプライヤーとともに作る水平分業での開発ですから、短期間で変更させるのが難しい。でも、テスラは要となる部分を自社で賄う垂直統合型ですから自分たちで変えられる。スピードが全然違うんですよ。

 今やシートも内製して、一体化したバッテリーとシートをボディの下からはめ込むことまでやっています。そういう変更をクルマのフルモデルチェンジではなく、年次改良でやってしまうんです。

近藤 そんな方法は、既存の自動車メーカーにはなかったですよね。

Webメディア『現代ビジネス』編集次長の近藤大介氏。中国に詳しいジャーナリストとしても有名で、著書多数<br>
Webメディア『現代ビジネス』編集次長の近藤大介氏。中国に詳しいジャーナリストとしても有名で、著書多数

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