僕らの日本車がガラケー扱い!? もっと頑張らないといけない「不都合な真実」を忖度なしに語る!

■中国市場を諦めると、ドミノ倒しのように新興国市場を奪われてゆく

中西 1908年にT型フォードが誕生して以来、フレームからモノコックになったりするなどの変化はありましたが、クルマの基本的な作り方は変わっていません。トヨタ生産方式はそれを芸術的なまでに進化させたものですが、テスラはそれを根本的に変えたんです。

近藤 ギガキャストで製造工程を簡略化したんですね。

中西 簡略化というよりは、全部一直線でやっていたものを水平方向に並べるということですね。それで製造コストが約半分になります。そうして3万ドルを切るEVを2025年に出そうとしているわけです。カローラやカムリなど、大衆車の価格です。

近藤 そこにBYDも入ってきますね。

中西 BYDはもうちょっと下のセグメントで、もっと安い価格を目指していて、ロースペックでテスラ的なEVをアジアの庶民が買える価格で出そうとしています。こうした動きが2025年から始まるんです。

近藤 あと2年しかありません。日本車はどうなってしまうんですか?

中西 かなり追い詰められています。すでにアメリカ市場と中国市場も厳しいのに、アジア市場も取られてしまったら非常にまずい。その後、中国車は中南米、中東も狙っていくでしょう。中国のEVが世界標準になるかと言えば、疑わしい面もあります。でも、中国で今や日本車はガラケー扱いです。もう中国では物理スイッチがあるクルマは過去の遺物になってきているんです。

近藤 中国市場で負けたら、その後ドミノ倒しのように新興国市場を奪われてゆくんですね。

中西 だから、日本車は中国市場を諦めず、新興EV勢力に伍して戦えるクルマを作っていかないといけません。

近藤 2023年4月の上海モーターショーをインターネットで見ましたが、日本車と中国車の価値が完全に逆転していたように思えました。

中西 中国は若い世代がクルマを買う層の中心で、デジタルネイティブの世代です。タッチパネルで階層を探っていくことになんの抵抗もないし、スイッチやレバーが付いているクルマはダサいと思われています。アメリカやヨーロッパも同じようなもので、物理スイッチのほうが安全だし便利だという人が多いのは日本くらいなんです。

近藤 トヨタはやらなければならないことが山積みですね。

中西 とにかく変化に対応するスピードが必要です。次のリーダーを若い佐藤恒治社長に託したのもスピードを重視してのことでしょう。

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