アメリカ車全盛の時代を回顧する スズキのデザイン 水平対向エンジンはどうなる?【復刻・徳大寺有恒「俺と疾れ!!」】

■古いクルマのエアコン

(読者の方からの、「1970年代のいわゆるスーパーカーたちを夏に運転する時にはどんなご苦労があったのでしょうか?」という質問に)

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 私の愛車はずっとヨーロッパのクルマですが、昨今のヨーロッパ車はエアコンもいいですね。もっとも以前はおっしゃるようにひどいモノでしたが……。

 私も以前プジョーに乗っていました。セダンの504でした。ディーゼルでとにかくのろかったのですが、いいクルマだと思いました。

 スーパーカーといえば、私はマゼラーティが多かったのですが、ロンシャン(V8ユニット)以外はダメでした。もっとひどかったのが、昔のフェラーリでした。

 それに比べるとアメリカンV8ユニットを持ったクルマはずっとましでした。

 しかし、そのフェラーリも最大のマーケットである北米のセールスが軌道に乗りだしてからは劇的によくなりました。

 その時代のクルマは都内ではエアコンを切って窓を開けていました。だから若い女性は化粧がダメになるので乗せられませんでした。

■スズキのデザイン

スズキ・コレダ号…1954年発売のコレダCO型はスズキ初の90ccの4ストローク車だった。同年鈴木織機から鈴木自動車工業に社名を変更する。翌1955年には第1回全日本オートバイ耐久ロードレース(浅間レース)に出場している
スズキ・コレダ号…1954年発売のコレダCO型はスズキ初の90ccの4ストローク車だった。同年鈴木織機から鈴木自動車工業に社名を変更する。翌1955年には第1回全日本オートバイ耐久ロードレース(浅間レース)に出場している

(スズキ歴史館に行ってきた、という読者の方からの、(そこで見つけた)フロンテ800がコンパクトセダンのなかでデザインが一番いいと感じたのですがどうでしょうか、という声に)

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 スズキのデザインはおっしゃるようにユニークです。フロンテ800もいいけれど、その成り立ちに注目します。ご存じかもしれませんが、スズキは元々モーターサイクルメーカーです。「コレダ」というブランドでオートバイを売っていました。

 1954年(昭和29年)にコレダ号(CO型)を完成させ世に問います。

『オートバイはこれだ!』という意味から付けられたといいますが、翌年昭和30年に日本初の軽自動車スズライトを発表するので、スズキのルーツはまさにコレダにあると思います。世の中に必要なモノを作る、そのためのデザインということだと思います。

 自動車を作ったスズキもダイハツもマツダもどのメーカーもアメリカにあこがれを持っていました。マツダはベルトーネとダイハツはヴィニヤーレと日産はピニンファリーナと出会うのです。

 おのおの思いがあって道は分かれていき、今日を迎えています。悪戦苦闘してきた歴史が各社にあり、礎となりました。

■自動ブレーキシステムについて

衝突軽減ブレーキ(自動ブレーキ)システム…燃費の次にユーザーが重要視するチェック項目といっていいだろう。5万円のムーヴに対抗しワゴンRが4万2000円で装着できるようになるなど一気に身近な装備になっている
衝突軽減ブレーキ(自動ブレーキ)システム…燃費の次にユーザーが重要視するチェック項目といっていいだろう。5万円のムーヴに対抗しワゴンRが4万2000円で装着できるようになるなど一気に身近な装備になっている

(ABSやエアバッグが標準装備になったように、昨今関心が高まりつつある自動ブレーキシステムも標準装備にすべきではないでしょうか、という意見に対して)

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 自動ブレーキシステムは高い技術力が必要な安全デバイスです。それを10万円以内という比較的求めやすい価格で提供するところが増えてきました。

 ドライバーの命を助けるということはもちろんですが、例えば障害物に当たった自損事故で修理する場合でも、バンパー交換だとして、10万円以上かかる可能性が大いにあります。

 そういった損得勘定をしてみれば、スバルのクルマでアイサイトの装着率が高いことも納得できます。

 ただし、全車標準装備にするというのはどうでしょう? 日本のメーカーはどこもコストでものすごい競争をしています。多くの車両で使われる部品ひとつの仕入れ値が10円下がれば、1年間に100万台作ったとして1000万円の違いが出てしまいます。自動車の部品点数はいったいいくつあるのでしょう?

 100点の部品が10円ずつ下がれば、10億円のコストダウンです。ある意味コストダウンでもうけが出るのです。

 安全デバイスが標準装備となることで、当然、コストは上がります。メーカーにしてみれば、高級車ならいいけれど、大衆車や軽自動車では、販売価格に跳ね返り、競争をさらに激化させます。あくまでオプションでという考え方になるのも自然です。

 安全デバイスは高度な技術ですから、コストが劇的に下がるというようになるには、もう少しかかるでしょう。またどんどん進化しているデバイスなのであっという間に古くなってしまうことも考えなければなりません。

 標準装備がいいとわかっていてもメーカーが踏み切れない事情はまだまだ多いのです。

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