【アクティトラック生産終了へ!】素晴らしき技術の塊! 軽トラックは日本の宝だ

■ホンダの個性が光るアクティトラック

 軽トラックでは駆動方式も注目される。N-BOXやタントのような軽乗用車は、ボンネット内部にエンジンを収める前輪駆動だが、軽トラックはエンジンを座席や荷台の下に搭載する後輪駆動となる。

 この方式であれば荷台を長く確保できて、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は短くなるから小回りの利きも向上する。ホイールベースは、アクティトラックとハイゼットトラック3姉妹車が1900mm、キャリイ4姉妹車は1905mmだ。

 最小回転半径は、アクティトラックが3.6~3.7m、残りの2モデルは3.6mになる。軽乗用車のN-BOXは4.5~4.7mだから、軽トラックの小回り性能は抜群だ。

 またホイールベースが短いと、デコボコのある農道などを走る時に、ボディの下側を擦りにくい。オフロードSUVのジムニーも、短いホイールベースを生かして悪路走破力を高めた。

 エンジンの搭載方法にも注目したい。キャリイ4姉妹車とハイゼットトラック3姉妹車は、エンジンを座席の下に搭載して後輪を駆動する。アクティトラックはユニークで、エンジンは荷室下側の後方(リヤサスペンションの前側付近)に搭載した。いわゆるミッドシップで、前後輪の重量配分は58:42だ。ライバルに比べて後輪の接地荷重が増えるので、2WD仕様でも未舗装の農道などを走りやすい。

細いあぜ道などを走ることが多い軽トラックだが、小回りが利くのでUターンするようなカーブも難なくクリアできる。先頭からアクティトラック、キャリイトラック、ハイゼットトラック
アクティトラックのエンジンは、リヤサスペンションの前側付近に搭載されている

 また荷物を積まない状態で、後退しながら坂道発進する時なども、安定性を高められる。前輪の上にエンジン、さらにその上に乗員が座ると、荷重が前輪に著しく偏る。この状態で後退しながら坂道発進すると、舗装路でも後輪が空転する心配が生じるが、アクティトラックなら安定を確保しやすい。

 アクティトラックはサスペンションも個性的で、前輪はストラットの独立式、後輪には車軸式ながらド・ディオンアクスルを採用した。ほかの2モデルは、前輪がストラット、後輪はトラックでは一般的なリーフスプリングの車軸式だ。

 軽トラックで走行性能と乗り心地が最も優れてるのは、スバルが開発と製造を行っていた時代のサンバーだ。直列4気筒エンジンは静かに回り、4輪独立式の足まわりで走行安定性と乗り心地も優秀だった。このスバル製のサンバーには達しないが、アクティトラックも、軽トラックの中では粗さを抑えた快適な乗り心地を達成している。


 このように軽トラックは、小さなボディに日本の自動車技術が詰まった素晴らしいカテゴリーだ。それだけに車種を廃止すれば、ユーザーと販売会社に大きな影響を与える。アクティトラックも、改良を加えながら可能な限り生産を続けて欲しい。

 それが無理なら、OEM車を導入せねばならない。ホンダも意地を張っている場合ではないだろう。安易なOEM車の導入はユーザーのメリットにならないが、廃止するのに比べれば、悪影響を抑えられる。

【画像ギャラリー】ホンダの技術が光る軽トラック「アクティトラック」とそのライバル

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