■10年、20年と長く乗るには、不透明な部分があるEVの寿命
クルマを趣味としている人にとっては、愛車はただの道具以上の愛すべき存在であり、できるだけ長く乗りたいと思うもの。
ガソリン車であれば、昭和の時代から何十年も走り続けているであろう懐かしいクルマを今なお街中で目にすることがあるが、EVの場合はそうはいかないようだ。
EVの寿命において、一番のウイークポイントとなるのが駆動用のバッテリーであることは誰もが知るところ。
とはいえ初期のEVに見られた急激なバッテリーの劣化などは、一部の不良を除いてほぼ見られなくなり、ここ最近のモデルなら新車から3~5年程度であれば、その性能にはまったく問題はないとされている。
これを裏づけるように、メーカーによるバッテリーの保証も充実しており、例えば日産では8年または16万Km、レクサスやトヨタでは10年または20万Km(メーカー保証:8年16万km + BEVバッテリーサポートプラス:2年4万km)と、8年から10年程度は安心して乗ることができるわけだ。
いっぽうで、誕生してからまだ十数年ほどの歴史しかないEVでは、その本当の寿命がはっきりしないのも事実。
とはいえ15年、20年と乗り続けるとなればバッテリーの劣化は免れず、ガソリン車のように長く乗り続けるのは難しいだろう。
また、日進月歩で進化するEVだけに、その高性能化はガソリン車を上回るペースで進むことは間違いない。
リセールバリューが落ちない短いスパンで、という割り切った乗り方ができないクルマ好きには、EVはやはり向いていないといえるだろう。
【画像ギャラリー】慌ててEVに飛びついちゃいけない人って?(9枚)画像ギャラリー■経済的に余裕のない人にはちょっと厳しいかも!?
軽自動車やコンパクトカーといった、比較的低価格で購入できるモデルの登場により、より身近になった感のEVではあるものの、ガソリン車と比較するとまだまだ高価なのは確か。
EVとガソリン車では同じメーカーであっても仕様やグレードが異なるため単純な比較はできないものの、似たような条件の車種であれば、EVのほうが1.5~2倍程度車両価格が高く設定されている。
加えて自宅での充電設備をEVの購入と合わせて整えるとなれば、それなりの出費を考慮する必要もある。
購入時の補助金や税制面での優遇、燃料費である電気代といったランニングコストの安さを考えればそれほどの差はないという意見はあるものの、それを回収するまでにはそれなりの時間や走行距離が必要なのも事実だ。
また、低価格を売りにしているEVの多くは1回の充電で走ることができる距離が短いため、毎日の通勤や買い物といった近場を短時間で行き来するには向いているものの、先ほども触れたとおり長距離の移動には不向き。
長距離を移動するためのクルマが別にあり、あくまでセカンドカーとして使うという2台持ちや3台持ちができる環境にある人にはこうした低価格EVいいかもしれないが、1台だけですべてをまかないたいという場合には少々厳しいといわざるを得ない。
これがガソリン車であれば、仮に価格が安い軽自動車であっても、乗り心地の悪さやパワー不足に目をつむれば、1台で近距離から長距離まで、ある程度の用途をまかなうことができる。
以前に比べれば身近になったEVではあるが、経済的な余裕のない庶民にまで手に届くものになるには、もう少し時間がかかりそうだ。
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