サビや過去の雑な作業で角部がなめたボルトやナットを緩める際に重宝するのが「ターボソケット」「ツイストソケット」「ナットツイスター」といった商品名で呼ばれている特殊形状のソケットです。ボルトやナットと工具の当たり方には線接触や面接触といった形式がありますが、ツイストソケットはそれらとは全く異なり、物理的にがっちり食いつくのが特徴です。
ボルトやナットを緩める際にメガネレンチやソケットレンチを使う理由とは?
ボルトやナットはバイクや自動車を組み立てる際に、最も一般的なネジとしてあらゆる場所に使われています。それらを回す工具にはスパナやモンキーレンチ、メガネレンチやソケットレンチなどがありますが、メガネやソケットが使えるならスパナやモンキーはできるだけ使用しないのがバイクいじりの大原則です。
スパナやモンキーはホームセンターでも当たり前のように販売しているし、工具セットの定番アイテムでもありますが、使い方によってはボルトやナットを傷めるリスクがあるからです。
ボルトやナットと工具の寸法差がゼロでは着脱ができないので、両者の間には絶対にクリアランス=ガタが存在します。スパナの場合、ボルトやナットに接する二面幅の許容差がJIS規格で定められています。例えば呼び寸法が14mmであれば最小+0.05mm~最大0.27mmが許容差で、当たり前ですが14mmより小さなマイナスは許容されません。
そしてボルトやナットとの接触部分に注目すると、二面幅は平行に接しているようでいて実は6カ所の頂点のうち2点しか接触していません。二面幅がベタ当たりするのはクリアランスがゼロの時だけだからです。
そのため締め動作でも緩め動作でも、回転トルクが大きくなるほど接触している2点に加わる力が大きくなります。
メガネレンチやソケットレンチも、ボルトやナットの呼び寸法より実寸が大きいのはスパナと同様ですが、必ず6点で接触するためトルクは分散されます。10の力をスパナで加えると、ボルトに接する1点あたりの力は5になりますが、ソケットなら1.66になるため荷重は大幅に軽減されます。
開き幅を任意に調整できるモンキーレンチなら、ボルトやナットとのガタをゼロにできると思いがちですが、トルクを加えると二面幅に開き方向の力が加わるため、実際に回転トルクが伝わるのは2点となります。
バックミラーのロックナットなどスパナでなければ回せない部分もありますが、それ以外はできるだけメガネレンチやソケットを使った方が良いというのは、このような理由があるからなのです。
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