シフトレバー式、ボタン式がある
電子制御シフトがデザイン上で有利なのは明らかで、機械的なリンク(EVやハイブリッドでは従来のようなトランスミッションさえも)存在しないゆえ、多少乱暴な言い方をすれば、シフトレバー(セレクター)をセンターコンソールやインパネのどのような位置にも基本的に設定可能だ。
操作パターンについては、日本車メーカーでは“ほぼ” 機能的に統一され、シフトポジションの選択後は中立ポジションの位置に戻るように設定されている。
“ほぼ”と書いたのは、ホンダは現行のレジェンドやNSX、アコード(ハイブリッド)などから新機軸を打ち出し、電子式パーキングブレーキをPスイッチとして用意したうえで、N(ニュートラル)、D(ドライブ)、R(リバース)の各ポジションの選択をボタン(スイッチ)式としているからだ。
2019年10月から開催された東京モーターショーで発表された新型フィットもハイブリッド機構がダブルクラッチ+1モーター方式の「i-DCD」と呼ばれる“従来型”から最新の「e:HEV」に変更されるから、シフト機構も変わると想像できる。
回生ブレーキの効き具合を強めるシフトポジションとして、トヨタ/日産/三菱は「B」を用意しているが、ホンダではの「i-DCD」を搭載するフリードやステップワゴンは「L」「S」ポジションを設定しており、前述のボタン式では採用していない。
問題は「中立ポジション」にあり?
操作方法に関しては、慣れてしまえばさほど複雑ではない。パワースイッチを押してシステム作動(READY)状態として、中立ポジションにあるシフト(セレクト)レバーがP(パーキング)ポジションを選択していて「ブレーキペダルを踏んで」停止状態であることを確認する。
次にシフトレバーをゲートに沿って右にずらしたうえで、前方に押し込めばR(リバース)に、車両後方に引けばD(ドライブ)に入る。Dポジションから車両後方にずらせばB(ブレーキ)に、Dに戻す場合には同じ操作を行うというのが基本操作となる。
いっぽうで、どのような操作してもシフトレバーが中立ポジションに必ず戻ってしまうことが、操作のわかりにくさを助長している。
シフトポジションが物理的に一見して確認できないことが、操作の手順の上で違和感をもたらす要因になっているように思えるのだ。
“誤発進”はなぜ起こり得るのか?
それでは最も電制シフトの特異さが表われてしまう操作を説明しよう。
まずP(あるいはD/Rポジション)からNポジションに入れる時は、「しばらく(そのまま/少しの間)保持」しないと入らない。
Nポジションでブレーキペダルを踏まない、もしくはアクセルペダルを踏んでいると、ビープ音による警告音とともに注意喚起が行われる。
プリウスではディスプレイに「Nレンジに入っています。アクセルを緩めて希望レンジに入れてください」と表示される。それでも警告を無視して、シフトレバーを右に押し続けてもNポジションを選択できる。
さらにドライバーが乱雑なシフト操作を行い(何らかのパニック状態にある場合など)、車両システムが操作を無効と判断した場合には、Nポジションに自動的に切り替わる場合がある。
つまり、上記のように、Nポジションに「意図せずに」入っている状態が起こりうる。
そこで「ブレーキペダルを踏まず」「アクセルペダルを間違えて踏んでいる」状態で、「N→Dへとシフトチェンジ」してしまうと、いわゆる「誤発進」が起こりうることになる。
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