■中谷シフトだからこそ味わえる楽しみって?
ベスト・モータリングでは市販車がベースであり、中谷シフトが有効かデータで見ることはできない。しかし、バトルの結果で見ればマイナスに働くことはなかった。メインステージだった筑波サーキットの加速区間各所で、確実にライバルに勝る加速を引き出せていた。
ただ、市販車ならではの弱点もあった。F3000などのレーシングカーのトランスミッションはドグクラッチを使用しており、ギア比もクロス化されていて素早いシフトに耐えられる。しかし市販車はシンクロギアを備え、ギア比もワイドで、素早い操作に対して耐久性に問題があった。
サーキット走行では油温も上がり、潤滑不足も起こる。すべての市販車で中谷シフトが可能なわけではなかった。
ダブルやトリプルのシンクロコーンやクロスレシオが、ランサー・エボリューションⅤに設定され、中谷シフトを許容する市販車初のミッションとなった。それがオンボード画像で拡散され話題となったのである。
しかし、時代が進とエンジンの高出力化に伴いエンジンの制御がより細分化された。現代ではほとんどのエンジンが直噴化され、より燃焼制御が緻密に行われる。
スロットル信号やギアポジション、エンジンノックセンサーなど幾重にもセンシングされるので中谷シフトを行うと出力制御が介入してパワーを絞られてしまう。
今はデュアルクラッチや自動変速などコンマ1秒で自動変速するトランスミッションが登場しており、中谷シフトより早く変速できるようになったが、シフトフィーリングからトランスミッションの異常や油温の上昇などコンディション変化をドライバーが自ら感じられなくなっているのは、ドライバー自身のセンシングスキルを引き出せない。
いくら速くてもセンサー任せのドライビングでは面白みも醍醐味もないと感じるのは、中谷シフトに憧れた世代には共通しているのではないだろうか。
コメント
コメントの使い方日本はスピードシフトの事を中谷シフトって言っていたの?アメリカだと1960年代からやっていたよ。ドラッグレースでは常識。