最近の日本車大きくなりすぎじゃない!? スバルレヴォーグの登場にみる「ジャストサイズ」論【ベストカーアーカイブス2013】

最近の日本車大きくなりすぎじゃない!? スバルレヴォーグの登場にみる「ジャストサイズ」論【ベストカーアーカイブス2013】

 ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は2013年の企画「日本のクルマの原点回帰」から、日本車の「ジャストサイズ論」をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年12月26日号に掲載した記事の再録版となります)

文:編集部

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■アテンザ カムリ アコード スカイライン……大型化が進む最近の日本車たち その原因は?

CMで「ちょうどいい」をアピールするフリード。全長4215mm、全幅1695mm、全高1715mmの5ナンバーボディに3列シートをレイアウトして7名乗り
CMで「ちょうどいい」をアピールするフリード。全長4215mm、全幅1695mm、全高1715mmの5ナンバーボディに3列シートをレイアウトして7名乗り
全長2985mm、全幅1680mm、全高1500mmという超コンパクトボディのiQ。ホイールベースはわずか2000mm。これでリアシートも備える4人乗りである
全長2985mm、全幅1680mm、全高1500mmという超コンパクトボディのiQ。ホイールベースはわずか2000mm。これでリアシートも備える4人乗りである

 最近の日本車は大きくなりすぎだ……。そう感じる人は多いだろう。

 今の時代、全幅1700mm以下の5ナンバーサイズに固執することはないと思うが、それにしても全幅が1800mmを大きく超えるとなると、さすがに住宅地の路地での取り回しに気を遣うことになるし、駐車スペースだって制限されてくる。

 マツダアテンザは伸びやかなフォルムがスタイリッシュだとは思うが、さすがに1840mmという全幅は大きさを実感させられるし、カムリは全幅1825mm、アコードの全幅は1850mmもある。11月11日にモデルチェンジした13代目スカイラインは1820mmある。

 ボディサイズが大きくなった一因は衝突安全対応ボディの採用という側面もあるが、なによりも最大の理由は、北米をメインとしたクルマ開発のゆえんである。

 北米では全幅1800mmでもまだまだミドルサイズといわれるスケール感。国土の広さが違い、道路の広さも建物の大きさもすべてが日本とは異なっており、大柄な人が多いということもあり、大きなクルマが当然のように求められている。

 つまり、現在の全幅1800mmを超えるクルマは、日本人のためのサイズではなく、アメリカに向けて開発されたサイズということだ。もちろん全幅だけではなく、全長や全高といったボディサイズすべてが大きくなっている。

 全幅1700mmを超える乗用車は「普通自動車」に区分され、1989年4月の自動車税改正以前は排気量に関係なく、仮に1800ccエンジンを搭載していたとしても年間6万5000円の自動車税がかかっていたため、クラウンもセドリックもみんな基本は全幅1700mm以下の5ナンバーサイズだった。

 現在はボディサイズと自動車税の相関関係がなくなったことも、全幅1700mmを超える3ナンバー車が増えた一因だ。

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■大きくなったレガシィが日本では売れていない!

レガシィツーリングワゴン(4790×1780×1535mm)
レガシィツーリングワゴン(4790×1780×1535mm)
レヴォーグ(4690×1780×1485mm)。大きくなったレガシィのポジションに新たにレヴォーグを投入するスバル
レヴォーグ(4690×1780×1485mm)。大きくなったレガシィのポジションに新たにレヴォーグを投入するスバル

 3代目までは頑ななまでに全幅1695mmとして5ナンバーサイズを堅持したレガシィだが、2003年に登場した4代目では全幅を1730mmに拡大して3ナンバーサイズとなる。

 とはいえ全長については4代目も3代目と同じ4680mmで、実際に運転してもそれほど『大きくなった』感をいだくことはなかった。

 しかし2009年に登場した現行型5代目は全幅を1780mmに拡大するとともに全長が4790mmとなりホイールベースも4代目から80mm長い2750mmとなり、見るからに「大きさ感」を醸しだし、実際に乗っても大きさを感じるようになった。

 さらにアウトバックに至っては最低地上高を高めるために全高を70mm高くして1605mmに、グンと張りだしたブリスターフェンダーを採用することで全幅は40mm拡大された1820mmとなり、よりいっそうボリューム感を感じさせる佇まい。

 これはいうまでもなく、スバルが最重視するマーケットであるアメリカでの販売を重視したためだ。

 実際、北米でレガシィ(特にアウトバックの人気が高い)は人気車となっていて、2012年のアメリカでの販売台数はアウトバックが11万7553台、レガシィが4万7127台でレガシィシリーズ合計16万4680台を販売した。

 日本での販売は1996年には9万1478台だったものが2005年には5万9370台へと約半減。現在の5代目となった2009年は2万8260台、2010年は2万7419台、2011年=2万2367台、2012年=2万6008台。北米での成功と引き替えに日本での販売を低下させたことが明確だ。

 この対応策として、というよりもレガシィの原点回帰として登場するのが東京モーターショーでベールを脱いだレヴォーグなのだ。

 ボディサイズは全長4690mm、全幅1780mm、全高1485mmとなり、全幅こそ現行型レガシィと同サイズながら全長は4代目レガシィツーリングワゴンとほぼ同サイズでホイールベースは4代目レガシィより10mm短い2650mm。

 実車を見れば明らかなのだが、現行型レガシィと比べてギュッと凝縮されて引き締まった印象。たしかにサイズ感としては先代型レガシィツーリングワゴンの印象に近い。

 レヴォーグについてスバルの開発陣も「4代目レガシィへの回帰です」と明言している。

 今の時代、5ナンバーサイズにこだわるのは少々現実にそぐわないと思うが、大きくなりすぎた日本車に対する、ジャストサイズへの原点回帰への動きを実感する動きである。

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