ニッポンのGTは世界で通用していたのか!!? 「世界一」に挑んだ日本のGTカーたち 10番勝負!│前編【ベストカーアーカイブス2014】

■勝負2:日本の自動車メーカーが総力を挙げて開発! トヨタ2000GT vs シボレーコルベット(1967年)

トヨタとヤマハの共同開発によって誕生したトヨタ2000GT。1967年5月から1970年8月の生産終了まで生産台数は337台にすぎない
トヨタとヤマハの共同開発によって誕生したトヨタ2000GT。1967年5月から1970年8月の生産終了まで生産台数は337台にすぎない
原型となったレーサーモデルの名を冠し、コルベットスティングレイと呼ばれたシボレーコルベットC2型。初代と違い、メインはクーペ
原型となったレーサーモデルの名を冠し、コルベットスティングレイと呼ばれたシボレーコルベットC2型。初代と違い、メインはクーペ

●日本車が世界に挑んだスポーツGT

 シボレーコルベット(C2型)はまるで宇宙船のようなモダンなデザインに、腹に響く太いエキゾーストサウンドで豪快に走る憧れのアメリカンスポーツカーだった。それを追いかけるようにして誕生したのが、トヨタ2000GTだった。

 コルベットはアメリカンスタンダードな1800mm近いワイドなボディに最大5.4L、340psあるいは、360psのOHV、V8エンジンを搭載。車重は1370kg。3速MTが標準だが、3速AT、4速MTも用意されていた。

 このダイナミックなコルベットに比較し、2000GTはひと回り小ぶり。1120kgで華麗なヨーロピアンテイストのボディのGTカーだった。エンジンは直6DOHCの2L、150psと出力は半分以下。3速ATもあったが、5速MTが標準だ。2台の対比はまるで、弁慶と牛若丸だ。

 コルベットの第一の魅力は圧倒的な動力性能の高さ。3.8kgm/psと軽量なパワーウェイトレシオのおかげで、加速性能は抜群。まさにスポーツカーならではの豪快な走りだ。これに対し、2000GTのパワーは150ps。パワーウェイトレシオは7.46kgm/psと倍近かった。おそらくコルベットと張り合うと直線では軽くいなされてしまっただろう。動力性能はコルベットを100とすると残念ながら60という感じだ。

 ハンドリングはどうだろう。コルベットは、スイングアームの4輪独立懸架となり、リアのスタビリティは先代C1型より俄然、高くなっていた。対する2000GTのハンドリングはとても軽快だった。タイトコーナーの旋回も得意でフロントに荷重をかけながらコーナリングに入ると予想以上にスルーっと回り込んでくれて楽しかった。

 コルベットは2000GTに対して190kg程度重かった。この重さゆえに2000GT同様の軽快なターンインはできない。また、仮に無理して同様な小さな旋回をやってしまうと、後端にある燃料タンクのため、フルタンクだとかなりオーバーステアとなり、カウンターステアーを大きく求められたのではないだろうか。

 前後の重量配分はかなり後ろ寄りになっていたから。190kg近い重量差で、ブレーキング、コーナリング、は辛かったろう。この運動性能でいえば2000GTに120点を与えてもよい。

 これらのダイナミック性能のほか、GTカーとして大切なのはスタイリングや佇まいの雰囲気だ。エクステリアの美しさは、コルベットとまた異なった質感がある。インテリアはさらに工芸的な美しいウッドパネルのダッシュボード。それにシフトノブやウッドのステアリングホイルなどマニアには垂涎だ。もちろん、コルベットの圧倒的な迫力のあるメーターパネルも度肝を抜かれるが、落ち着いた雰囲気でしっとりと迫る2000GTのインテリアは120点。

 この対比はまさにあの「ゼロ戦」に対峙したアメリカの戦闘機、「グラマンF6Fヘルキャット」や「チャンス.ヴォートF4Uコルセア」の対決だ。パワーに勝る相手に軽量で軽快な運動性能で立ち向かったのだ。2000GTのダイナミック性能とデザインの合計は300点。つまり、トータルパフォーマンスでは少しも引けを取っていないことになる。

●挑戦の結果…シボレーコルベットが100点だとしたらトヨタ2000GTは「100点」!!

(TEXT/津々見友彦)

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