ニッポンのGTは世界で通用していたのか!!? 「世界一」に挑んだ日本のGTカーたち 10番勝負!│前編【ベストカーアーカイブス2014】

■勝負3:本格派スポーツGTを日本にも!フェアレディZ vs ジャガーEタイプ (1969年)

フェアレディZ
フェアレディZ
ジャガーEタイプ
ジャガーEタイプ

 ジャガーEタイプは1962年にデビュー。その魅力は直列6気筒、3.7Lエンジンのパワーやモノコック構造の軽量化ボディ、ダブルウィッシュボーンのサスペンションなど超一流のスペックと、バランスのとれた美しいスタイリングがある。同じ性能のスポーツカーと比較し、3分の2程度の価格も魅力だった。

 新車当時ではなかったが、実際にクーペに試乗した時に印象的だったのはまず、直6、3.8L、265psの圧倒的なパワー。頭の血が後ろに引いていくような加速だった。が、4速MTは1速がノンシンクロだったので、シフトダウンはかなり正確なダブルクラッチを使わないとシフトできなかった。ロードホールディングは今考えてもすばらしかった。4輪が吸い付くようにコーナリングした。ブレーキの効きもすばらしかった。

 しかし、モノコック構造材が張り出している室内は、かなりタイト。クーペはヘッドスペースもかなり圧迫感があった。ラゲッジスペースもクーペのわりには広くなかったし、ロードスターのトランクはスポーツバッグぐらいしか入らなかった。

 いっぽう、フェアレディZは1969年にデビューした。日本向けは直6の2L、130psだったが、これは日本の道路状況からスポーツ度は必要ない、という割り切りだった。しかし、ミッションは5速マニュアルで、フルシンクロを採用。うれしかったのはこのエンジンがパワーこそやや不足気味だったが、回せばそれなりに楽しく乗りまわすことができたこと。

 フェアレディZはベース車両に、スポーツカー用のエンジンを搭載したZ432や、2.4Lの240Zを加え、スポーツカーとしてのポテンシャルを高めていったことだった。この2台を比較してみると、ジャガーが100点ならフェアレディZは90点はつけられる。

●挑戦の結果…ジャガーEタイプが100点だとしたらフェアレディZは「90点」!!

(TEXT/石川真禧照)

■勝負4:“憧れ”をついに現実のものに! 初代ソアラ vs BMW635CSi(1981年)

初代ソアラ
初代ソアラ
BMW635CSi
BMW635CSi

 初代ソアラが開発中にターゲットとしていたライバルにBMW635CSiがある。1976年に630CSとしてデビューしたこの華麗なクーペは、まさに初代ソアラが目指していた「大人のラグジュアリークーペ」。直6エンジンやストラット/セミトレのシャシーなど、技術的にもかなり共通点が見受けられる。

 ただ、どっちがインパクトがあったといえば、当然ながら圧倒的にソアラだった。1980年代初め頃の635CSiの価格はほぼ1000万円。それに対し、国産としては飛び切り高価だったにせよ、ソアラ2800GTは300万円以下。今なら86/BRZとポルシェ911くらいの距離感の違いがあったのだ。

 にもかかわらず、数字で示されるパフォーマンスがほぼ同等だったところに、当時のクルマ好きは熱狂したワケですよ。

 この時代はベストカー本誌もよく谷田部で最高速テストを行ったけど、だいたいソアラ2800GTも635CSiも最高速は200km/h強というレベル。当時のBMWの3L直6は、日本仕様では185ps(DIN)で、しかもATがZFの4速仕様だったから、170ps(JISグロス)の5MG-EU+5MTとだいたいトントンのパフォーマンスだったのだ。

 もちろん、内外装のクォリティや操縦性/乗り心地などのシャシー性能ではまだまだ大きな差があったけど、そのかわりソアラはエレクトロマルチビジョンなどハイテク電子装備がテンコ盛りだったし、走りの性能にしても当時のぼくらはナイーブにも「そういうのはいずれ追いつく」と楽観的に考えていた。

「負けてる部分もあるけど、次のソアラが出たら635なんかメじゃないでしょ!」ってなイケイケムードに浮かれていたわけだ。初代ソアラはそのくらい当時のクルマ好きをワクワクさせてくれたと同時に、日本において“ラグジュアリーカー”というジャンルが華麗に幕を開けた瞬間だった。だから、日本人にとってはBMW635CSiが100点ならソアラは150点以上のインパクトがあったといっていいですよ。

●挑戦の結果…BMW635CSiが100点だとしたら初代ソアラは「150点」!!!

(TEXT/鈴木直也)

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