走りのフィーリングにもこだわり、死角ナシの仕上がり
そして乗り味だ。SKYACTIV-Xの低速トルク(最大トルク22.8kgm)はSKYACTIV-D(最大トルク27.5kgm)ほどではないが、2Lのガソリンエンジンとして考えればかなりのもの。
最大トルクを発生するのは3000rpmだが、1500rpmも回っていれば十分なトルク感を感じさせる。さらにエンジンの反応の良さと相まって、クルマの動きが実にキビキビとしている。
そして、SKYACTIV-Xの特徴はとにかく静かなこと。遠くでエンジンが回っている音が聞こえる感じで、低回転の緩加速ではノッキング音も少し聞こえるものの、SKYACTIV-DやGと比べると格段にエンジンの音は小さい。
ハイオク仕様となったことで燃料費の上昇が気になるかもしれないが、ハイオクを使った場合、燃費は向上するので、実質的な燃料費はレギュラーガソリン使用時とほぼ変わらないそうだ。
であればエンジンに対して優しい、しかもいざという時には伸びやかな加速感をより味わえるハイオクガソリンを使った方が、結局はお得ということになる。
つまりSKYACTIV-Xは、燃費が良くて環境に優しいだけでなく、スポーツドライビングも楽しめるほど高性能で好フィール、おまけに静かで快適性も高いという、ちょっと欲張りな仕様になっているのだ。
それが価格を押し上げている面もあるのだが、現時点では燃費性能だけではインパクト不足は否めないので、マツダの選択は納得できる。
正直普通のガソリン車と比べると元は取れない
最後にSKYACTIV-Xエンジン搭載車は、冒頭で説明したように、1.8LディーゼルのXDに比べて40万7407円高、2Lガソリンの20Sに比べて68万2407円高、1.5Lガソリンの15Sに比べて97万6759円高と、相当高い価格設定だ。
下にスペックを記しておくがその数値だけを見ると、燃費差から元を取ろうというのは計算する前から無理だとわかるはず。
■1.5L、SKYACTIV-G:111ps/14.9kgm、WLTCモード燃費16.6km/L
■2L、SKYACTIV-G:156ps/20.3kgm、WLTCモード燃費15.6km/L
■1.8L、SKYACTIV-D:116ps/27.5kgm、WLTCモード燃費15.7km/L
■2L、SKYACTIV-X:180ps/22.8kgm、WLTCモード燃費17.4km/L
技術面、生産工程、エンジンフィール、走りのよさ、静粛性などテクノロジー面からいったら、21世紀の大発明といってもいいくらいの「夢のエンジン」。
それくらい、SKYACTIV-Xは今までにない内燃機関だ。
さらに言わせてもらえば、燃費一辺倒のハイブリッドと比べると、パワートレインとしての魅力は何倍も高い。
すでに発売されている欧州ではマツダ3の約6割、CX-30の約4割のユーザーがSKYACTIV-Xを選択していることからも、その魅力が認められた、ということだ。
エンジンにこだわるクルマ好きは是非ともSKYACTIV-Xを手に入れて、最新のエンジンテクノロジーがもたらす省燃費とスポーティなフィールの両立を堪能してほしいと思う。
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