今後、自動車産業の中で重要な位置を担っていくであろうBEV。ならば過度に信奉することも、逆に毛嫌いするのも良い事とは言えない。ここでは、「BEV」に関するウンチクやウワサ話などの真偽を客観的に検証してみよう!!
※本稿は2025年1月のものです
文:片岡英明/写真:日産、ホンダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年2月10日号
検証その1:BEVはタイヤの摩耗が早い!?
大容量の駆動用バッテリーを積むBEVは、同じクラスのガソリン車と比べると車両重量が重い。また、パワー特性も違い、モーターはアクセルを踏んだ直後から力強くパワーとトルクが湧き上がる。だからタイヤは摩耗しやすく、寿命が短くなるのはホントだ。
同じ車種でガソリン車と比べると、車両重量はBEVのほうが10~15%重くなっている。タイヤにかかる荷重が大きいことに加え、BEVは回生ブレーキも多用するから摩耗度はそれ以上の割合で進んでしまう。
内燃機関車同様に運転の仕方で摩耗度は大きく変わるが、ボクが乗っているHonda eに履かせているミシュランのパイロットスポーツ4は、2万5000kmで寿命が尽きた。だが、最近は高荷重に耐えられる、EV対応設計のタイヤも増えてきている。
●「BEVはタイヤの摩耗が早い」は……ホント!!
【画像ギャラリー】コレで解決!? 長い間心の片隅に引っかかっていた「BEVのウソ? ホント?」(20枚)画像ギャラリー検証その2:BEVは補助バッテリーが劣化しても問題ない!?
駆動用の高圧バッテリーの残量や電欠を気にするBEVオーナーが陥りやすいワナのひとつが、12Vのバッテリー上がり。
BEVも電装品や補器類用に12Vバッテリーを搭載しているが、それが弱ると、駆動用バッテリーの残量が充分でも走行不能に陥るのである。
12Vバッテリーが消耗してしまうと、電気が来ないから息絶えてコンピュータなども働かなくなってしまうのだ。こうなるとエンジン車と同じようにジャンプコードを使って12Vバッテリーを充電するしかない。
ボクもEVキャンプをした時にバッテリー上がりを経験した。これを教訓に、愛車のトランクには小型の充電式バッテリーチャージャーを積んでいる。
●「BEVは補助バッテリーが劣化しても問題ない」は……ウソ!!
検証その3:BEVはトランスミッションが不要!?
基本的にはBEVにトランスミッションは不要だ。ただし、手作りBEVには3ペダルMTがあるし、ポルシェのタイカンはリアに自動変速の2速ミッションを装備した。また、けん引することの多いBEVトラックのなかには2速の変速ギア装備車も存在する。
が、BEVの魅力のひとつは静粛性や滑らかさなどの快適性だ。モーター一体型のコンパクトなeアクスルが増えているので、小型化のためには無段変速機が主役になるだろう。だが、マニアックなBEVやオフロードBEVなどには多段MT車もありだと思う。
●「BEVはトランスミッションが不要」は……ホント!!(ただし変速ギア装備車もある)
【画像ギャラリー】コレで解決!? 長い間心の片隅に引っかかっていた「BEVのウソ? ホント?」(20枚)画像ギャラリー検証その4:BEVは雪道に弱い!?
BEVは雪道が苦手だと思われている。が、これはウソだ。バッテリーを床下に積み、ワンペダルの回生ブレーキも使えるから滑りやすい雪道や下り坂でも安定した走りを披露する。
また、モーターはその特性上、緻密なコントロールが可能だ。駆動力のコントロールに加え、制御も賢いから加速も減速も滑らかだ。登り坂や坂道発進はちょっと手こずる。だが、電動4WDのBEVなら鬼に金棒!!
●「BEVは雪道に弱い」は……ウソ!!
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