たくさん売れたわけじゃないが何年経っても覚えている、印象的だったクルマを取り上げるこの企画。今回は今見ても独特ハッタリ感満載の「永遠のキワモノ」、三菱 GTOが登場。なんとも言えないワルモノっぽさにシビれるぜ!?
※本稿は2025年2月のものです
文:小沢コージ/写真:茂呂幸正
初出:『ベストカー』2025年3月10日号
一見ミドシップなのに中身はディアマンテ!?
なんなんだろう? このキワモノ感でありハッタリ感。発売から35年たっても独特ワル目立ちオーラは変わらない。
そう、バブル期の三菱が産んだ奇天烈4WDスポーツ、GTOだ。同年出たリアルミドシップ2シーターのホンダ NSXを王道とするならGTOはある意味カタキ役。なんせキャッチコピーは『スポーツは、ライバルがいるから面白い』だしね。
しかもヘッドライトはザ・スーパーカーたるリトラクタブル式。真横からみると、これもしやミドシップか? と戸惑うフォルムをしており、サイドのエアダムは超スーパーカーっぽいが実は完全ダミー。狭いがリアシートもあるのだ。
実際コイツの骨格はエンジン横置き系4駆&FFハードトップのディアマンテで、中に座ると一目瞭然。インパネはFFらしく切り立ってて、絶妙にディアマンテっぽい。そこに無理やりスポーティな3連メーターやスティックシフトが備わり天井はヤケに低い。
全長ほぼ4.6mと長いが、FF骨格に無理やりミドシップ風ガワを被せたからか、全高1.3m弱の低さもあって身長175cmの小沢が運転席に座ると、頭が天井に着きそうになるし、すんなり顔が外に出ない。リアシートはさらに狭く完全に首を曲げた状態になる。
だが、それでいいのだ。ポルシェ911のリアにしろ激狭だし、フツーこの手は2シーター。4人乗れるだけでエライ。
さらにGTOが凄いのはエンジンパワーで、今回借りたGTO SRは3L・V6ノンターボの225psだが、人気のツインターボは当時のNSXと同じ280ps。最大トルクはNSXを凌駕する43.0kgm超えで、シフトチェンジの少ない4ATと組み合わされると爆発的加速を発揮する。
正直、無理やりFFシャシーに横置き3Lターボを積んじゃった感じもあって、どっかん加速の直線番長だしステアリングフィールはイマイチ。NSXのリアミドシップだけが持つナチュラルなフィールやソリッドさとは対極的だが、このドーピング感はアリ。
さらに言うとターボのブレーキはアルミ製4ポッドキャリパーでやたらよく利くし、5MTはドイツのゲトラグ製でフィールよし。
【画像ギャラリー】小さな夢も見れないこんな世の中に……ギミック満載スポーツ4WD!! 案外よさげな三菱 GTO(24枚)画像ギャラリー今となっては「先見の明」と言えなくもない面白ギミック満載
面白いのは、恐らく三菱が先鞭を付けたアクティブエキゾーストなるエンジン排気音切替システムや、アクティブエアロシステムも付けられること。今回のSRにはなかったが、スイッチポンでエンジンの重低音が楽しめたり、空力が変わるのは秀逸。
今ではエンジン音をスピーカーから増幅して出したり、可変スポイラーも当たり前になったが、すべてはGTOのハッタリフェイク感が原点なのだ(ウソ)。
また、この速さとスタイリングを持ちつつ人が一応4人乗れたり、浅いが広めのラゲッジスペースや、基本ハッチバックボディなので、その気になればスキーやスノボも積めるのは助かる。
中古価格は最近の価格高騰でカリカリにチューンしたツインターボ4WDは4WSやCDオーディオ付きで400万円超えだし、スパルタンなスポーツサスペンション付きのMRグレードにしろお高め。
しかし今回のノンターボのSRはパワー低めな分、カリカリチューンはしてないし、距離のわりにヤレも少なめ。走りの刺激は薄めだけど安心して買えてグーよ!
【画像ギャラリー】小さな夢も見れないこんな世の中に……ギミック満載スポーツ4WD!! 案外よさげな三菱 GTO(24枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方>>人気のツインターボは当時のNSXと同じ280ps。最大トルクはNSXを凌駕する43.0kgm超えで、シフトチェンジの少ない4ATと組み合わされると爆発的加速を発揮する。
GTOのターボはMTのみでは?