間違い2:下り坂ではフェードを防ぐためフットブレーキを“弱く”踏み続ける
下り坂でのブレーキ過熱による制動力低下を防ぐには、エンジンブレーキ、回生ブレーキを最大限利用することだ。フットブレーキをなるべく使わないようにと思い、ブレーキを弱くかけ続けるドライバーもいるかもしれない。
これはNG行為にあたる。弱くブレーキを踏み続けている状態では温度を下げにくくなってしまうため、むしろフェードしやすい環境を作ってしまうからだ。
ブレーキペダルの反応が怪しくなってきたと思ったら、見通しの良い区間であれば一度クルマを停止させてブレーキを完全に冷やしたい。本来は完全に停車するより、徐行程度まで減速して走っているほうが、走行風でブレーキは冷える。
もしブレーキが甘くなった、効かなくなったと思ったら最終手段として、クルマを壁やガードレールに擦ったり、砂を積み上げた緊急退避所にクルマを突っ込ませる。
下り坂が連続する区間を走っている際に、路肩に「エンジンブレーキ使用」と書かれた看板があるのを見たことがあるだろう。こうした長い下り坂こそが最も多くエンジンブレーキを使用する場所だ。
シフトダウンによるエンジンブレーキ、Bレンジにより回生ブレーキを使わず、フットブレーキしか使ったことがない、という人がいるかもしれない。

たしかにブレーキの利きに関してはフットブレーキのほうがエンジンブレーキより強く、確実な減速が行える。しかし、このフットブレーキには弱点があるのだ。
エンジンブレーキを効かせず、フットブレーキを多用すると、特に長い下り坂で摩擦による発熱が大きくなり、ブレーキの利きが悪くなるフェード現象が起きる。
このフェード現象が起こったまま、さらにブレーキをかけ続けるとブレーキローターとブレーキパッドの温度が上がり続け、ブレーキフルードが発熱してフルード内に気泡が発生し、この気泡によってブレーキに油圧が伝わらなくなるべーパーロックの現象が起き、ブレーキが効かなくなるケースもある。
また、エンジンブレーキ、回生ブレーキの利用は、適度に使えば燃費向上になり、クルマの安定性向上やブレーキパッドの節約にもなる。下り坂での速度維持などではエンジンブレーキを積極的に利用しつつ、減速はフットブレーキとの併用が基本と考えよう。
【画像ギャラリー】なにげなくやっているATを痛めるNG行為を写真でチェック!!(6枚)画像ギャラリー間違い3:下り坂でニュートラルに入れると燃費がよくなる
平坦な道を走行中、アクセルオフにすると減速度を感じると思うが、一般的なガソリン車では、Dレンジ(MT車ではニュートラル以外のギア)で走行中にアクセルオフにすると、燃料カットの制御が入り、燃料の噴射が止まる仕組みとなっている。さらにシフトダウンを行うと、エンジンはポンピングロスを起こして「回転抵抗」が強く働く。そうなると、クルマには減速する方向に力がかかる。
燃料カットの制御は、設定されたエンジン回転数よりも小さくなると解除され、アイドリング時の燃料噴射量となるが、それまでは燃料消費はしない。しかし、Nレンジで走行すると、エンジンはアイドルを維持するため、アイドリング時の燃料噴射量で燃料は消費される。下り坂をNレンジで走行すると、エンジンブレーキを使用したときと比較して、若干ではあるが燃費は悪化してしまう。
またシフトダウンをすると、エンジン回転が上昇し、燃料を多く使っていると勘違いをし、敬遠する人もいるようだが、実際は燃料カットの制御によって、(設定された回転数までは)燃料消費は行われない。「エンジンブレーキ使用」という看板がある長い下り坂では、その注意書きに従ってしっかりシフトダウンとアクセルオフでエンジンブレーキを効かせ、走行するようにしてほしい。
結論、下り坂でニュートラルに入れる操作は、アイドリング回転分の燃料は消費し続けているため、逆に燃費は悪化する。
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コメント
コメントの使い方「エンジンブレーキ?何それ美味しいの?」
とつぶやいている人は今すぐ免許を返納しましょう。
自分は信号待ちの時にニュートラルにしますが、それは後突など事故を受けて衝撃でアクセル踏んだり意識を失っても自車を暴走させない為です。
安全を優先するかAT保護を優先するかは個人の自由ですが、どっちを優先すべきかは議論するまでもない。
意識無くなった場合下り坂でニュートラルだと負荷なしで転がり続けるやん