2024年9月に中国市場に登場したマツダ EZ-6。スポーティーなフォルムの4ドアクーペだ。パワートレーンはBEVと、レンジエクステンダー付きEVを用意するこのEZ-6、中国BEV市場をさらに活性化させる存在となるか!?
※本稿は2025年2月のものです
文:加藤ヒロト/写真:長安マツダ、加藤ヒロト
初出:『ベストカー』2025年3月26日号
マツダから登場の電動セダンに試乗
かつての勢いはどこへやら、マツダは中国で苦戦を強いられている。熾烈な電動化競争のなかで、マツダ起死回生の一手を担う重要な一台に試乗した。
EZ-6は2024年9月に発売された電動セダンで、パワートレーンはBEVと、発電用1.5L直4エンジンを備えるEREV(レンジエクステンダー付きEV)の二刀流となる。
完全独自開発ではなく、長安汽車(マツダの合弁相手)の電動ブランド「ディーパル(深藍)」が販売する「L07」がベースだ。大まかなシルエットは同じであるものの、マツダのフィロソフィーに沿ったデザインが特徴的で、しっかりと「マツダ車感」のある仕上がりとなっている。
EREVは最高出力214hp、BEVは254hpを誇る。それぞれ2種類のバッテリーが選択可能で、前者は容量18.99kWh/28.4kWh、後者は56.1kWh/68.8kWhのものを搭載する。BEVは一充電で480km/600km(CLTCモード)を走れる仕様だ。
ボディは全長4921×全幅1890×全高1485mm、ホイールベースが2895mmと比較的大柄だ。バッテリーを搭載しているだけでなく、中国の道路状況に合わせているためにアイポイントは高い印象を受けた。
だが、実際にシートに腰かけてみると着座位置はそこまで不自然ではなく、2ドアクーペ、もっといえばマツダ ロードスターのような感覚と言える。
内装の素材選びや造形はマツダ車らしい一方で、各ディスプレイのUIはその息吹がまったく感じられなかった。昨今の安めな中国車にありがちな適当なグラフィックとフォントのようで、個人的にはここがEZ-6の唯一の欠点と感じた。
各ボタンも既存のマツダ車とは押し心地が異なるし、コラムレバーは押しても固定されない方式となる。価格を抑えたBEVなのはわかるが、それでもしっかりとこだわりを持っていてほしいものだ。
マツダの電動化戦略を担う存在
乗り味は比較的硬めで、スポーツセダンがしっかりと体現されている。試乗したのは発電用エンジンを備えるモデルだが、低速時は騒音と振動を抑えつつ、アクセルを踏み込むと気持ちのいい音を繰り出して加速してくれた。
EZ-6は登場初月で2445台を売り上げており、北京市内のディーラーによれば購入者の6割がガソリン車からの乗り換えで、それ以外はBYDなどの低価格帯BEVからのステップアップ需要ということだ。
中国での販売価格は13.98~17.98万元(約300.4万~386.3万円)と、日系EVのなかでは比較的安価だ。2025年1月には欧州へ「マツダ 6e」として輸出することも発表されており、マツダの電動化戦略におけるキーモデルとなるに違いない。
●マツダ EZ-6のポイント
・パワートレーンはBEVと、発電用1.5L直4エンジンを備えるEREVの2本立て
・マツダのフィロソフィーに沿った内外装デザイン
・BEVの一充電航続距離は、バッテリーサイズ違いで480km/600km(CLTCモード)
●マツダ EZ-6 主要諸元
・全長×全幅×全高:4921×1890×1485mm
・ホイールベース:2895mm
・車両重量:1778-1862kg(EREV) 1855-1962kg(BEV)
・エンジン(EREV):1.5L直4エンジン
・モーター:214hp・320Nm(EREV) 254hp・320Nm(BEV)
・バッテリー容量:18.99kWh/28.4kWh(EREV) 56.1kWh/68.8kWh(BEV)
・サスペンション形式:F=マクファーソンストラット R=マルチリンク
・純電動航続距離(CLTC):130km/200km(EREV) 480km/600km(BEV)
・価格:300.4万~364.9万円(EREV) 343.4万~386.3万円(BEV)
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