2014年に惜しくも世を去った自動車評論家の前澤義雄氏。ご存知清水草一氏と対話形式で連載された『デザイン水かけ論』はベストカー本誌の名物だった。あれから10年が過ぎ、今また清水氏が問う。「前澤さん……カタマリ感ってナンですか?」。
※本稿は2025年2月のものです
文:清水草一/写真:スバル、三菱、日産、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年3月26日号
クルマにおける「カタマリ感」とは
ベストカー本誌で12年間連載されていた『デザイン水かけ論』。そのなかで、元日産チーフデザイナーの前澤義雄氏は、時に「カタマリ感」という表現を用いた。あの「カタマリ感」とは、どういう意味だったのか? だって、モノはすべてカタマリでしょ!?
前澤氏は、カタマリ感の意味について特に説明はしてくれなかったが、氏が「カタマリとしての狙いが徹している」と評したのが、スバルの軽・R1だ。一見地味なコルトプラスも、「優れたプロポーションと上質な造形で高い車格を感じさせる」と評価していた。
2台に共通しているのは、自動車としてかなり球体に近いということだ。立方体に近い成り立ちの自動車の角が取れ、ごく自然にギュッと凝縮されたようなフォルムが「カタマリ感がある」ということらしい。つまり、カタマリ感≒凝縮感!
現行モデルだと、たとえば日産 アリアは、自然に角が取れたような、スムーズな造形になっている。クルマは角が取れてりゃいいってわけじゃないけど、美しく角が取れたクルマは、カタマリ感が生まれるのだ。
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