中国市場での勝算はある!! ただ日本導入は難しい
中国のBEV市場の現状は、BYDが年間300万台以上を販売するトッププレイヤーだ。リーズナブルなコンパクトカーからハイエンドのフラグシップまで、幅広い価格帯のBEVラインアップを揃えており、中国市場ではもはやBYDの敵はいない状況。その勢いに割って入るのはもちろん容易ではないのだが、bZ3Xには価格競争力に加えて、「トヨタブランド」という強力な武器がある。
中国でも、特に地方都市では「トヨタ車は壊れにくい」「長く乗れる」というイメージが根強いという。BEVであってもそのブランド力は効果的であるだろうし、トヨタのディーラーネットワークやアフターサービス体制の充実度は、多くの新興BEVメーカーがまだ到達できていないレベルにある。
また、トヨタの現地パートナー「広汽トヨタ」の存在も大きい。製造拠点の最適化だけでなく、中国市場特有の消費者ニーズを理解し、それを製品に反映させる「ローカライゼーション」のスピードは、他の外資メーカーにはないものがある。
広汽はすでに独自ブランド「AION(アイオン)」でBEV市場に一定のプレゼンスを持っており、そのノウハウもbZ3Xに活かされているはずだ。bZ3Xの価格競争力に、世界に誇る日本のブランド+現地企業の強みという化学反応が加わることで、中国市場で爆発的な効果を生み出すことは十分あり得るのではないだろうか。
また、この内容であれば、日本に導入(逆輸入)されてもかなり売れるのではないだろうか。中国生産車であるにせよ、bZ3Xは「トヨタブランド」だ。ほかの海外メーカーの廉価BEVよりも、絶対的にイメージがいい。補助金込みで300万円以下で買えるようならば、ヒットする可能性は十分にあると考えられる。
ただ、残念ながら日本導入の可能性は限りなく低いだろう。bZ3Xは「中国スペシャル」だからこそ実現できたものだからだ。
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価格、性能、デザイン、ブランド力、そして現地パートナーとの連携という多層的な戦略が織り込まれたトヨタ「bZ3X」は、BYD一強の構図に風穴を開けるポテンシャルを秘めているクルマだ。
ただ、中国BEV市場の変化は速く、bZ3Xの成功が一過性で終わらないためには、今後のソフトウェアアップデート体制や、モデルライフサイクルにおける迅速な改良、そしてbZ3Xの派生車の開発も必須。引き続きトヨタの動向に注目だ。
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コメント
コメントの使い方そもそもBYDとの共同開発だからこの車両が売れたところでBYDに食い込むとはならない
バッテリーはBYD製だしBYDに中国市場の一部を分けていただいたというようなもの