【セルフでうっかり事故多発中!!】ガソリンと軽油 入れ間違えたらどうなる どうする!?

軽油は軽くなく、軽自動車用でもない!

燃料の色はJIS規格で決められ着色されている。一番左の黄緑色が軽油、中央のハイオクガソリンとレギュラーガソリンはオレンジ色で同じ色だ
燃料の色はJIS規格で決められ着色されている。一番左の黄緑色が軽油、中央のハイオクガソリンとレギュラーガソリンはオレンジ色で同じ色だ

 さて、軽油とはどのようなもので、ガソリンとどう違うのかを確認しておこう。どちらも原油から精製される石油製品の一種で、軽油はディーゼルエンジンの燃料として使用されるというのはご承知のはず。

 意外に誤解されやすいのは、軽油の名称は重油に対して付けられていて、別表のように石油燃料として質的に“軽い”わけではない。

 日本の給油スタンド(ステーション)では、セルフ式スタンドの普及により誤給油を防ぐ理由から「軽油」の代わりに「ディーゼル」と表記されていることにも気づきにくいかもしれない。

●石油製品の密度(単位:g/㎠)/LPG(液化ガス):0.50~0.60、自動車用ガソリン:0.72~0.76、ジェット燃料:0.76~0.80、灯油:0.78~0.80、軽油:0.80~0.84、重油:0.80~0.96

 最近のディーゼルエンジンには、効率の良い燃焼を実現するために、燃料を高圧で噴射するためのコモンレール式やユニットインジェクター式の噴射装置が採用され、具体的には2000気圧を超える圧力で軽油が噴射される(ガソリンエンジンの場合には300~400気圧程度)。

 高い噴射圧を実現するためには、高圧噴射に対応する燃料ポンプとインジェクター(噴射ノズル)が必要とされ、なおかつ作動部の摩耗を抑えるために、軽油には潤滑剤が添加するなど、高い潤滑性が求められる。

燃料を入れ間違いに気づいたらすぐやるべきこと

 それではJAFの給油についての資料やレポートなどに基づいて解説していこう。

 給油時にフューエルキャップやフューエルリッドの裏に使用燃料が表示されていることは誰もが知っているはず。たとえ燃料を入れ間違えても、エンジン始動前に入れ替えることができれば問題はない。

 前述したが、燃料の入れ間違いは意外と多いトラブルで、JAFのロードサービスにも「燃料を入れ間違えたのですが、エンジンは壊れませんか?」という問い合わせがよくあるとのことだ。

 誤った燃料を給油してしまったことに気づいた時にエンジンが作動している場合は、ただちに安全な場所にクルマを停車させ、エンジンを止めなければならない。その後は決してエンジンをかけずにディーラーに誤給油した旨を伝え、今後の対応について相談してほしい。

 残っていた燃料と誤って給油してしまった燃料の量によっては、始動・走行できる場合もあるとはいえ、後述するトラブルや故障を防ぐためにも「エンジン始動前に速やかに燃料を入れ替える」ことが肝要となる。

誤って給油して起こるトラブルとは?

BMWの場合、ガソリンエンジンは直噴のため、エンジン音は高めでディーゼルエンジンと勘違いする人もいる。先代F30型3シリーズの広報車を借りて試乗した評論家が、ディーゼル車と思っていたらガソリン車だったという逸話もあるほどだ
BMWの場合、ガソリンエンジンは直噴のため、エンジン音は高めでディーゼルエンジンと勘違いする人もいる。先代F30型3シリーズの広報車を借りて試乗した評論家が、ディーゼル車と思っていたらガソリン車だったという逸話もあるほどだ

 それでも、間違った燃料を給油した場合に起こる実際のトラブルはどのようなものなのか。ディーゼル車にガソリンを給油した場合、ガソリン車に軽油を給油した場合、それぞれを確認してみよう。

 ディーゼル車にガソリンを入れた場合は、軽油に対してガソリンは潤滑性が低いため、初期ではエンジンは作動していても、すぐにパワーが失われてくる。エンジン音が高まるとともに、アイドリングも不安定となって、排ガスは白くなってくる。

 こうなると燃料ポンプやインジェクターが摩耗や焼き付きを起こしてしまうことになる。結果として、オーバーホールが必要になって、修理費用もフルオーバーホールでは30万円程度かかるケースも起こりうるという。

 いっぽう、ガソリン車に軽油を入れた場合は、軽油の混ざったガソリンが供給されてエンジン出力が低下して加速が鈍くなり、アイドリングの不調に陥る。

 軽油はガソリンほど揮発性が低く気化しないために、不完全燃焼によって煤などが生じて点火プラグが汚れてしまう。残された燃料が軽油だけになると、黒煙が排出された後に最終的にはエンジンが停止してしまう。

 どちらも軽油とガソリンの混合比によって、入れ間違い後の症状には差があり、エンジン始動が不可能になる場合もあるとのことだから、ともかく異常に気づいたらなるべく早めに停車してエンジンを止めることを考えるべきだ。

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