今じゃありえない! 昭和の“ゆるゆる”交通ルール5選

酒気帯び運転の基準が緩かった

昭和のクルマ社会はユルすぎた!? 今じゃ考えられない昔の合法だったルール5選
飲酒運転は免停や免許取り消しといった重い罪となるが、さらに人身事故を起こすと危険運転致死傷の罪に。被害者が死亡の場合は15年以下、ケガの場合は12年以下の懲役が科される

 死亡事故を含む大きな交通事故の原因になりうる違反として、現在では厳しい罰則が設けられている飲酒運転。

 飲酒運転の禁止が道交法で明文化されたのは1960年だが、その基準は呼気1リッターあたりのアルコール濃度0.25mg/l以上で酒気帯びと、現在の基準(0.15㎎/l以上)と比べるとかなり甘いうえ、飲酒運転自体は禁止されていたものの違反に対する罰則はなんと設けられていなかった。

 飲酒運転に罰則が設けられたのはその10年後となる1970年になってから。

 ここでやっと、酒気帯び運転には違反点数6点に3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、酒酔い運転の場合は違反点数15点と2年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されることになった。

 その後しばらくはこの規定が続いたものの、1990年代に入ってから増加した悪質な飲酒運転や、それが原因による悲惨な事故が多発したことで、2002年には酒気帯び運転の基準の見直しと厳罰化が図られた。

 その内容は、酒気帯び運転が「アルコール濃度0.15mg/l以上0.25mg/l未満」と「0.25mg/l以上」という2段階に分けられ、前者が違反点数6点、後者が13点となったのに加え、1カ月以下の懲役または30万円以下の罰金。

 酒酔い運転には25点の違反点数と3年以下の懲役または50万円以下の罰金という、これまでと比べるとかなり厳しいものとなった。

 この厳罰化により、2001年に4185件であった飲酒運転での死亡・重傷事故は、5年後となる2006年には1927件と半減。

 その後、2007年、2009年とさらなる厳罰化が進み、現在ではアルコール濃度0.15mg/l以上0.25mg/l未満の酒気帯びが13点、0.25mg/l以上が25点(いずれも3年以下の懲役または50万円以下の罰金)。

 酒酔い運転では違反点数35点、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と、より厳しい内容となっている。

 厳罰化の効果もあってか、飲酒運転による死亡・重傷事故はその後も減り続け、2022年には394件にまで減少。

 いっぽうそれ以降は400件を超えて推移するという増加傾向にあるため、予断を許さない状況だ。

 悲惨な事故の加害者にならないためにも、こと飲酒運転に関しては「昔は良かった」などと思わず、「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」を徹底したい。

シートベルトは高速道路前席だけでOK

昭和のクルマ社会はユルすぎた!? 今じゃ考えられない昔の合法だったルール5選
シートベルトの設置が義務づけられたのは1969年。それまでに生産されたクルマには付いていなかったり、オプション設定となっていたケースも多かった

 クルマのシートに座ると同時にシートベルトをすることは、ドライバーであればもはや習慣化しているかもしれないが、このシートベルトに関するルールも、昔はけっこう甘かった。

 シートベルトを設置することが義務付けられたのは、冒頭で取り上げたヘッドレストと同じ1969年のこと。

 とはいえ当時は運転席にのみ設置されていればよく、シートベルトも現在の3点式(1975年に義務化)ではなく、腰に巻く形の2点式が主流だった。

 さらに設置の義務化こそされてはいたが、装着に関しては強制力はなく、シートベルトをしない状態での運転も許されていた。

 1971年には罰則なしの努力義務として着用が促されたものの、罰則付きでシートベルト着用が義務化されたのは、それから15年近くが経過した1985年から。それも高速道路および自動車専用道路での前席のみが対象で、一般道でのシートベルト装着の義務化は平成になってから(1992年・平成4年)だった。

 後部座席に至っては着用が義務化されたのは2008年とかなり最近で、高速道路・自動車専用道路でのみ違反時の罰則が設けられている。

 つまり現代においても一般道での後部座席に限っては、違反状態ではあるものの、仮にシートベルトをしていなくても罰則が科されることはないということ。

 とはいえ、国土交通省が公表しているデータにおいても、シートベルト非着用時の致死率は着用者の約14倍となっているだけに、安全を考えれば着用は必須だ。

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